かすてら

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12/22/2024, 11:57:56 AM

ゆずの香りが風呂中に充満する。普段は特段意識していないのに、入浴剤が空っぽになってふと容器を見たら「ゆずの香り」なんて書いてあったものだからついスンスンと鼻を動かす。

入浴剤でゆずの香り、とか森の香り、なんてのがあるけどそもそも本物のゆずの香りなんて嗅ぐ機会はあまりないし森の香りに関してはなんなんだ。山ならまだ分かるけど、森に行ったことがある人間は現代日本にはそんなに居ない気がする。ちなみに私は無い。

あとフローラルな香りとかもあるけど最早フローラルってなんなんだ、別に香水みたいにウッディだかシトラスだか詳しく書けとは言わない。ただフローラルという言葉があの甘いようなよく分からない匂いを形容している。もうフローラルがゲシュタルト崩壊してきた。

そんなことを湯船に漬かりながら考えてきたら程々に温まったのでお風呂から上がる。疲れを取るための風呂なのに疲れた気がするのは何故だろうか。

12/21/2024, 12:18:32 PM

小さな頃、家の小さな窓から空を見た
もっと大きな空を見たくなった


少し経って庭から空を見た
もっと大きな空を見たくなった



大人になって山の上から空を見た
もっともっと大きな空を見たくなった





さらに経って宇宙から空を見た




空はなくなってしまった

5/28/2024, 12:53:24 AM

頭の中で大音量の天国と地獄が流れている。懐かしい小学校時代の運動会を思い出したいところだがそれどころでは無い。

今日も今日とて寝坊をかまし、とうとう目出度い10回目の遅刻記念日になろうとしているのだ。しかも朝から何かの教科でテストがあった気がする。ちなみにこんなことを言ってるので勉強なんてもちろんしていない。

改札機を全力で通り抜け、ホームの階段を飛び降りる勢いで駆け下りる。通り過ぎた人からは驚きの目で見られた気がするがそんなものに構っていられない。発車のベルが鳴り響く、電車のドアが閉まっていく。ああ、やばい。

しかし私は成し遂げた。車掌さんに怒られるであろう飛び込み乗車で何とか電車に乗れたのだ。今この瞬間だけ私の脚はオリンピック選手にも負けなかったと思う。額に流れる汗を拭いて、さて一息つこうと空いてる席がないか歩き出した。

はずだが、進まない。何かと思い後ろを振り返るとスカートの端が電車のドアに挟まっていた。仕方ない、このドアが開くまで立っているかと諦めた時、あることに気づいた。

このドアは今から3駅先のドアで開く、私が降りたいのは2駅先。つまり、学校の最寄り駅では、降りられない。全身から血の気が引いた、おめでとうございます10回目の遅刻が確定となりました。私は死んだ魚の目をして、電車に貼ってあるよく分からない広告を見ながらこう考えた。

「反省文、何枚ですむかなぁ」

5/23/2024, 12:14:41 PM

逃れられない

霧が濃くて足元すらろくに見えない
道は舗装なんてされてないし途中で転んだし
気分は最悪、来るんじゃなかった

なんだよアイツら、肝試ししようって言ったのに
途中でビビって逃げやがって腰抜け共が

神様がなんだよ、古ぼけた神社じゃんか
こんなところに神様どころか鼠一匹寄り付かねぇ

さっさと物色して早いとこ帰るか
ついでに金目のものでもあればいいな


神社にお参りする時の約束って知ってるか?

ああ、道の真ん中は歩くなとか二礼二拍手一礼とかだろ

そうそう、道の真ん中は神様の道だから人間は歩かない方がいいとか言うじゃないか

あれ、俺は試験だと思ってるんだよ

はぁ?試験?

ほら神様って全知全能とか、人に奇跡を与えるとかあるじゃないか
でもそれって自己中でわがままなクソ野郎ともいえるだろ

神様に対しての口の利き方がなってねぇな

まあまあ、んで、人間は神様に対しては猫かぶりで恭しく接するじゃん

そりゃ神様に願い事しに来てんのに上から目線のやつは居ないわな

その中でも神を神とも思わないクズが、絶対に抗う度胸があるやつこそ神の器を持ってるんじゃないかなぁって

あっそ





ちなみにそれは体験談か?

じゃなきゃお前とこんなボロい社に居ねぇだろ

5/23/2024, 8:47:31 AM

派手な化粧、派手な服、派手なアクセを身に纏う。玄関にある汚れた鏡で自分の姿を確認する。
よし、今日もワタシは綺麗。
内面の弱さを隠すように塗り固められた派手の鎧を、美しさとして男に振りまく。その代価として金を貰う。どうしてこうなったかなんて覚えてない、でも今を生きるためには媚びて色を売るしか他にない。そこに私という自我なんていらない、男に愛されるワタシでいなければならないんだ。
次この部屋に帰ってくる時、やっとワタシはただの私に戻れるのだろう。
じゃあ、また明日。

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