頭の中で大音量の天国と地獄が流れている。懐かしい小学校時代の運動会を思い出したいところだがそれどころでは無い。
今日も今日とて寝坊をかまし、とうとう目出度い10回目の遅刻記念日になろうとしているのだ。しかも朝から何かの教科でテストがあった気がする。ちなみにこんなことを言ってるので勉強なんてもちろんしていない。
改札機を全力で通り抜け、ホームの階段を飛び降りる勢いで駆け下りる。通り過ぎた人からは驚きの目で見られた気がするがそんなものに構っていられない。発車のベルが鳴り響く、電車のドアが閉まっていく。ああ、やばい。
しかし私は成し遂げた。車掌さんに怒られるであろう飛び込み乗車で何とか電車に乗れたのだ。今この瞬間だけ私の脚はオリンピック選手にも負けなかったと思う。額に流れる汗を拭いて、さて一息つこうと空いてる席がないか歩き出した。
はずだが、進まない。何かと思い後ろを振り返るとスカートの端が電車のドアに挟まっていた。仕方ない、このドアが開くまで立っているかと諦めた時、あることに気づいた。
このドアは今から3駅先のドアで開く、私が降りたいのは2駅先。つまり、学校の最寄り駅では、降りられない。全身から血の気が引いた、おめでとうございます10回目の遅刻が確定となりました。私は死んだ魚の目をして、電車に貼ってあるよく分からない広告を見ながらこう考えた。
「反省文、何枚ですむかなぁ」
5/28/2024, 12:53:24 AM