少し古い街並み
少し狭い路地
小さな喫茶店
扉を開けると
ふわりと香る
紅茶の香り
柔らかなソファーに腰を掛け
隣の席と同じ紅茶を頼む
綺麗なメイドさんが運んできた
紅茶を口に運ぶ
たまに会う君に
いつも僕は何も言えない
君はたくさん喋るのに
今日も言えなかった
ある日、君は僕に言った
「来週、引っ越すんだ」
びっくりしすぎて顔も見れなかった
それから君に会えない日が続いて
最後の日
いつもの場所に君はいた
君は最後だからって
僕に会いに来たらしい
素直に嬉しかった
君の隣に座って
いつものように君の話を聞いた
それから何もない時間を過ごした
僕は今日もたくさん君の話を聞いた
この日常も今日で終わり
そう思っていた
いつも自分語りの君から
「次に会えたらあなたのこと
もっと知りたいわ」
初めての問いかけだった
だから僕は、
「次は僕が
僕のことたくさん教えるよ」
君の初めての問いかけに
初めて答えた
何もかも奪われた
家族も、仲間も、友人も、
俺が築いた村だって
全部全部奪われた
復讐しようか
何度も何度も考えた
それでも復讐はしなかった
あの子がよく言っていた言葉
最後の言葉
「あんまり気に病むなよ
“無くなったら、探せばいい
壊れたら、作ればいい“
お前ならできるだろ」
あの子は俺のことをよく分かってる
もしかしたらあの子はこうなる事を
分かっていたのかもしれない
先のことを考えて行動するタイプだったから
あの子は優しいから
「大丈夫みんなが背中押してくれる」
0からまた始めてみようか
秋ごろにみる紅葉
とても綺麗で感動する
紅葉は好きだけど
その先の枯葉の方が好き
枯葉の儚い感じが美しい
風に靡いて流れていく様は
まるで人間の人生のようだ
わたしがいつも持ち歩いているキーホルダー
昔、君にもらったもの
君はわたしに「お守りだよ」って
くれたもの
いつもどこでも持ち歩く
何年経っても
ボロボロになっても
大事にしてる
君がいなくなってからも
わたしのお気に入り