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10/15/2025, 1:44:29 PM

愛-恋=?



どうやら恋愛感情を抱くための感情は、生きてきた環境に左右されるようで。俺はその狂ってしまった、異常な感情を抱くものなのだろう。

恋と愛というものはどうも、同じ式に当てはまらないと思ってしまう。それは俺が、恋をするのと同時に承認欲求を求めてしまうからだろうか。

恋に落ちてしまった相手は、勿論顔が好きであったり、性格に惹かれたのは確かだ。しかし、それと同時にどうしても『認めて欲しい』、『隣にいて欲しい』と思ってしまう。

寂しいだけなのかもしれない。

けれど、それが俺の正しい恋だ。

「おい、斎藤。話聞いてたか?」

「……すまん」

「はぁ……全く」

肩を大袈裟に動かす左之助は、口から大きな溜息を吐いた。

恋愛について考えていても、この環境にいる限りは恋愛、いや、恋愛感情を抱くことすら出来ないだろう。人を斬るだけ、男しかいないこの環境で、恋愛などしている暇はない。

俺のどう頑張っても輝けない瞳とは違って、左之助の瞳には常に輝きが存在していた。

俺がコイツだったなら、コイツの環境で幼少期を過ごしていたなら、もう少し平和に、まるで人生を設計されたように、生きられただろうか。

「……左之助」

「ん?なんだよ」

「お前は、……恋をした事があるか?」

「は、はあ?なんだよ、急に」

「……愛から恋を引いた時に、出てくるのはなんだと思う?」

「あははっ、斎藤はしょうもないことを考えるんだな」

そう言う左之助だったが、黙り込んで自分の世界に入ってしまったようだ。

恋などしたことはない。恋をしてしまうと相手を傷つけそうだから。愛を抱いたことはない。同じ量の愛を返してくれる人が身近にいなかったから。

だったら、俺は一体左之助に何を訊いたのだろう?

ゼロにゼロを引いたところで、数字は変わらないはずだろう。

心の奥底では、きっと左之助に何かしらの希望を抱いてしまっている。

俺の考えに共感して欲しいのか、否定して欲しいかなんて、自分自身でも分からなかった。

「……俺は、引いたら友情が残ると思う」

「…………何故?」

「だって、もし、もし俺が斎藤を好きになって告白したとして付き合えて。その後に別れたとする。……お前なら友達にまた、戻れるかなって」

左之助は後ろを向いてしまった。

きっと左之助は恋をしたことがある。それは、俺がありもしない幻想の誰かと想像しているのと違って、俺という存在で考えているからだ。

「お前は、斎藤はどう思うんだよ」

「俺か?……俺は」

愛から恋を引くということは、つまりは純粋な愛だけが残るということだ。俺は、その純粋な愛を受け取ったことがない。

だが、さっき左之助が考えたように考えれば、何かが浮かんでくるかもしれない。

「………哀しみ、不快感」

横目で左之助を見ると、一度は目を見開いたようだったが、すぐに微笑んでくれた。いつものようなあの勢いは、何処へ行ったのだろうか。

「まあ、斎藤らしいな」

「俺らしい……か」

きっと俺が求めている式には、答えなど、存在しないのだろう。

だったら、俺は受け入れてくれる相手が目の前にいるだけで満足だ。

恋など、する時が来るのだろうか。

愛を、応えてくれる人が、現れるだろうか。

蒼穹は、どうやら俺を優しく包んでくれるらしい。

10/14/2025, 1:59:01 PM





「ラキア、フルーツって知ってるか?」

「……なんだそれ」

そう言うと、絆斗は大きく口を開いて笑った。

どうやらフルーツというものは、甘くてみずみずしいらしい。ショウマが食べているお菓子とは違い、加工されていないのだとか。

「それでよ、梨を沢山貰ったんだが、食べるか?」

「ショウマたちと食べればいいのに」

「いや?俺はお前と食べたいんだ」

俺は首を傾げた。絆斗は、俺に対して好印象を抱いていないはずだ。なのに、俺と一緒に食べたいだの、まるで友達みたいじゃないか。

「……なんで、俺なんかと」

そう言うと、絆斗は照れ隠しをしながら笑った。

「いや〜……俺、ショウマと幸果に怒られてよ。『ラキアとも仲良くしろ』ってさ」

「……そうか」

絆斗は大きな鞄から梨というものを取り出した。お菓子とは違い、俗に言う食べ物だった。

「このまま食べるのか?」

「違う違う。こうやってだな、……あれ?」

右手に包丁を持った絆斗は、梨に少しだけ切れ込みを入れてなにかしたいようだった。

「どうしたんだ?」

「……か、皮が、上手く剥けねえ……」

様々な角度で切れ込みを入れる絆斗を見て、コイツは不器用だということに気づいた。

「……行くか。はぴぱれ」

諦めたような顔で、俺を見つめてくる。絆斗は不器用ながらに俺と仲良くなりたかったのかもしれない。

「はははっ、……行こう。絆斗じゃそれは無理だ」

「おい!失礼だな!」

俺たちははぴぱれへと向かった。