梨
「ラキア、フルーツって知ってるか?」
「……なんだそれ」
そう言うと、絆斗は大きく口を開いて笑った。
どうやらフルーツというものは、甘くてみずみずしいらしい。ショウマが食べているお菓子とは違い、加工されていないのだとか。
「それでよ、梨を沢山貰ったんだが、食べるか?」
「ショウマたちと食べればいいのに」
「いや?俺はお前と食べたいんだ」
俺は首を傾げた。絆斗は、俺に対して好印象を抱いていないはずだ。なのに、俺と一緒に食べたいだの、まるで友達みたいじゃないか。
「……なんで、俺なんかと」
そう言うと、絆斗は照れ隠しをしながら笑った。
「いや〜……俺、ショウマと幸果に怒られてよ。『ラキアとも仲良くしろ』ってさ」
「……そうか」
絆斗は大きな鞄から梨というものを取り出した。お菓子とは違い、俗に言う食べ物だった。
「このまま食べるのか?」
「違う違う。こうやってだな、……あれ?」
右手に包丁を持った絆斗は、梨に少しだけ切れ込みを入れてなにかしたいようだった。
「どうしたんだ?」
「……か、皮が、上手く剥けねえ……」
様々な角度で切れ込みを入れる絆斗を見て、コイツは不器用だということに気づいた。
「……行くか。はぴぱれ」
諦めたような顔で、俺を見つめてくる。絆斗は不器用ながらに俺と仲良くなりたかったのかもしれない。
「はははっ、……行こう。絆斗じゃそれは無理だ」
「おい!失礼だな!」
俺たちははぴぱれへと向かった。
10/14/2025, 1:59:01 PM