花咲いて
小学校の頃の話。
授業で花を育てていた。
その年はいつもより暑い年で、
土日で休んだ後、月曜日見ると
しおれていて、茶色っぽくなっていた。
どうせもう駄目と世話をやめた人もいた。
でも私はまだ、助かるかもしれないと
必死で水をあげたり何度も見に行ったりした。
(まだ、枯れないで、花咲いて)
そう思った。
その結果、多分駄目と言われていた花が咲いた。
とても綺麗だった。
頑張ったね、
私は花にそう言った。
花が咲いただけなのに
心が暖かくなった気がした。
もしもタイムマシンがあったなら
おそらく自分の過去を見ても
未来を見ても変えられないという制限はあるだろう。
そうでないと成り立たなくなるから。
だから過去であろうと未来であろうと
自分が生きていない時代の本を読みに行く。
変えられないなら好きなことをする。
未来の本の内容や見た目も気になるし、
未来では誰が偉人になってるかも知りたい。
過去ならその時代の雰囲気を味わいたい。
サインとか貰いたい。
「今日は○○年代の本を読みに行こう!」
こんな調子で使いそう。
私ならそれをやりかねない。
もっと良い使い方、あるはずなのに。
今一番欲しいもの
なんだろう。
形のあるものなら
新しいイヤホンが欲しい。
ずっと買うのを忘れているけれど、
今持っているのは片方壊れてて、
しかも機能している方はキーッという不快な音がする。
流石に変えたい。
形はないかもだけど存在するものなら時間。
時間があれば沢山睡眠できる。
好きなことができる。
考える時間が取れるから失敗も減る。
しなきゃいけないことを片付けれる。
こう書いてみたけど、
他にも欲しい物は沢山ある。
私の名前
確か、長生きしますようにという願いを込めて
付けられたんだっけ。
疲れたときにこの意味を思い出すと
頑張らなきゃと思える。
私はこの名前が好きだ。
なんだか自分にぴったりな気がするから。
雰囲気とか。
この名前をつけてくれた両親のためにも長生きしなきゃ。
ちなみにここでの名前、「桜」は
単純に一番好きな花だから。
他にも色々あるけれど
大きくはその理由。
視線の先には
がらんとした部屋に
一人、椅子に座っている人がいた。
部屋にはその人だけだった。
その人は時計をじっと見つめていたかと思うと、
今度は風に揺れるカーテンを眺め始めた。
少しすると、人が増えてきた。
その人は窓の外を眺め始めた。
瞬きと呼吸以外ほとんど動かなくなった。
よく見ると、その人は何も見ていなかった。
正確には、
時計もカーテンも景色も見えてはいたのだろうけど
それを見ていたのではなく、なにか思考に耽っていた。
心ここにあらず。
その人の視線の先には何があるのだろう?
それは、誰も知らない。
その人しかわからない事だから。
ただ確かなことは、
その時、その人は思い出か、
あるいは想像の中の世界にいたということだけだった。