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視線の先には
がらんとした部屋に
一人、椅子に座っている人がいた。
部屋にはその人だけだった。
その人は時計をじっと見つめていたかと思うと、
今度は風に揺れるカーテンを眺め始めた。
少しすると、人が増えてきた。
その人は窓の外を眺め始めた。
瞬きと呼吸以外ほとんど動かなくなった。
よく見ると、その人は何も見ていなかった。
正確には、
時計もカーテンも景色も見えてはいたのだろうけど
それを見ていたのではなく、なにか思考に耽っていた。
心ここにあらず。
その人の視線の先には何があるのだろう?
それは、誰も知らない。
その人しかわからない事だから。
ただ確かなことは、
その時、その人は思い出か、
あるいは想像の中の世界にいたということだけだった。

7/19/2024, 10:58:44 AM