どうしてこんな所に。
こんなタイミングで。
やっと心を立て直したのに、また壊されるのか。
どうして私を見るの。
そんな目をしないで。
いつも言葉にできない状態に追い込むのは貴方。
逃げられない。この恋から。
お題『言葉にできない』
昔から、そうだった。
これからも、きっと。
親友であり戦友である関係が変わることはない。
男と女の友情はあるんだと、自分に言い聞かせて、彼を見る。
10年間、誰よりも、ずっと彼のそばにいられたのは、心を閉じ込めていられたから。
これからも、この思いを解放するときは、誰よりも、ずっと彼から遠いところへ行くときだから。
お題『誰よりも、ずっと』
私は、この底なし沼から抜けられない。
これからも、ずっと。
そう思いこんでいた20年前。
何もかも諦めていた10年前。
誰の助けもないままに、ずっと同じ人を追いかけていた。
道ならぬ恋だと、わかっていながら、底なし沼に心を押さえ込んでいた。
これからも、ずっと。
なんてありえないことが、わかったのが5年前。
海外の自然を見るツアーは私を変えてくれた。
もう、振り返らない。前を見る。できるかぎり。
お題『これからも、ずっと』
「そうだよなぁ。女だが、女じゃない。みたいな奴だよな、お前は」
納得して頷いて、気がついた。
私が女らしくないわけじゃなく、周りが先導しているんだと。
「夜景をみるために、山を登って、星空の下で告白とか、好きなんじゃないの?」
ん?と首を傾げると。目の前にいた男が、
「お前に聞いた俺が悪かったよ」
と言って話題を終えた。
性格も好みもバラバラなのに、どんなアドバイスも意味ないと思う。この男の相手を私は知らないのだから。
「梨沙、どうしたら落とせるかなぁ?」
男の呟きに、ここが静かな喫茶店であることを忘れて叫んでしまった。
梨沙?いやいや、君には彼女は落とせないよ。そう思ったが口には出さなかった。
お題『星空の下で』
あー。何を見ても同じに見える。
高額商品をたくさん並べられると、何が何だかわからない。
とても綺麗な女性が商品をアレコレ勧めてくる。
だが、私にはつまらない時間でしかない。
「うーん。じゃあ、それでいいわ」
私の隣にいた男性が、こちらをジロリと睨んだあと、大きなため息を吐いてから物申す。
「もっと真剣に選ぶ気はないのか?」
「正直、何見てもよくわからない」
「婚約指輪だぞ?」
お題『それでいい』