通りすがりの字書き

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「そうだよなぁ。女だが、女じゃない。みたいな奴だよな、お前は」
納得して頷いて、気がついた。
私が女らしくないわけじゃなく、周りが先導しているんだと。
「夜景をみるために、山を登って、星空の下で告白とか、好きなんじゃないの?」
ん?と首を傾げると。目の前にいた男が、
「お前に聞いた俺が悪かったよ」
と言って話題を終えた。
性格も好みもバラバラなのに、どんなアドバイスも意味ないと思う。この男の相手を私は知らないのだから。

「梨沙、どうしたら落とせるかなぁ?」
男の呟きに、ここが静かな喫茶店であることを忘れて叫んでしまった。
梨沙?いやいや、君には彼女は落とせないよ。そう思ったが口には出さなかった。


お題『星空の下で』

4/5/2024, 12:56:54 PM