二人ぼっち
たくさんは要らないけど、一人きりは嫌だ。
誰か一人でいいから大事にして、大事にしてくれる人が欲しかった。
そしたらあなたがそばに来てくれた。
もう私は寂しくない。
でもあなたは私といると、
結んでいた繋がりをいろいろ失くしていくみたい。
それでもいいと言い切れなくなった。
そんな二人ぼっち。
#193
星が溢れる
ねえ、君は見たことがあるかい。
夜空に星が溢れるほど輝いているとき、
幾千幾万の小さな光が重なって
まるで白い道のように見えるんだ。
白い道?
そうなんだ。白くてまるでミルクが流れているようにね。
あ、それって……!
わかった? そう天の河。milkywayのことだよ。
本当に夜空に白く流れているように見えたんだ。
とても素晴らしかったよ。
あの美しい夜空を君にも見せてあげたい。
いつかきっと。
#192
ずっと隣で
先を歩く背中を、
追いかけるだけだった頃は過ぎて、
今はあなたの隣で、
同じ速度で、同じ方向を見て歩いている。
どちらかが元気を失くしてしゃがみ込む。
そんな時もあるけれど。
できるならずっと隣で。
この道をもっと先まで。
#191
もっと知りたい
もっと知りたい。
まだ冷たい春の風に吹かれた花びらのように
ふるふるとどうしようもなく心が揺れる。
もう好きになりかけている。
その先はまだ未定だけれど、
きっとあなたとわたししだい。
どんなふうに新しい季節を始めていこう。
#190
平穏な日常
水鳥が池の水面を滑るように泳いでいき、
小さな波紋が後ろに伸びて拡がった。
平凡で穏やかな風景。
でも池の上からは見えなくても、
その足は力強く水をかいているはず。
大きくて優雅に見える白鳥だって同じ。
水の中ではバタバタと忙しなく足を動かしているそうだ。
平穏な日常。
ありきたりかもしれなくても、
維持するにはかなり努力が必要だ。
家は自動で綺麗にならないし、洗濯物を畳む機械もない。簡単なご飯だって、量を作ればそれなりの時間はかかる。
そんな子どもの頃に見えなかった大変さを、
体でわかった時、
少しだけ大人になれた気がした。
#189