愛と平和
愛と平和なんて、
使い古された、
まともに取り合うには気恥ずかしい言葉だと
私は思った。
それがどれだけ貴重なものなのか、
そばにあるときは気づかないんだ。
失われそうになって初めて気づく。
足元から地面が消えたような気持ちを。
愛していた人にもう会えなくなるかもしれない。
明日も生きていられるかなんて、
そんな保証など、どこにもなかった。
そんな世界に生きているってことを。
#188
お金より大事なもの
私にとってお金より大事なものは、
いろいろあるけれど、
でもいちばん大事なものは、
もうとっくに決まっている。
家族だ。
娘だ。
そして娘を育てていくためには、
お金がいるんだ。
同じように、
父や母もいろんなことがあっても飲み込んで、
懸命に働いて、私を育ててくれたんだろう。
#187
たまには
「たまには明るく笑えよ」
ほとんど話したこともなかった
クラスメートの彼からの言葉。
あの時はショックなだけだったけど。
なんでそんなこと気にしてたの?
今なら尋ねてみたくなる。
#186
ひなまつり
まだ風は冷たいけれど、
緋毛氈のうえで、
穏やかな春の日差しを浴びている
我が家のおひなさま。
父と母が用意してくれたものを受け継いだ。
小さな手で何度も撫ぜてしまったから、
おひなさまの滑らかな髪は、
少し乱れてしまったけれども、
澄ましたお顔は変わらないままで。
#185
たった1つの希望
パンドラは開けてはいけない箱を開けてしまい、箱に閉じ込められていたあらゆる災厄は世界中に逃れてしまった。その箱にたった1つ残されたもの、それは希望だった。
有名なギリシア神話を思い出す。
希望がなければ人は生きていけないと思う。
でも希望があるからこそ、諦めることができなくて苦しい日々を過ごす場合もあるだろう。
希望は人に残された善きものなのか、
それとも残された災厄の一つなのか。
#184