もっと知りたい
もっと知りたい。
まだ冷たい春の風に吹かれた花びらのように
ふるふるとどうしようもなく心が揺れる。
もう好きになりかけている。
その先はまだ未定だけれど、
きっとあなたとわたししだい。
どんなふうに新しい季節を始めていこう。
#190
平穏な日常
水鳥が池の水面を滑るように泳いでいき、
小さな波紋が後ろに伸びて拡がった。
平凡で穏やかな風景。
でも池の上からは見えなくても、
その足は力強く水をかいているはず。
大きくて優雅に見える白鳥だって同じ。
水の中ではバタバタと忙しなく足を動かしているそうだ。
平穏な日常。
ありきたりかもしれなくても、
維持するにはかなり努力が必要だ。
家は自動で綺麗にならないし、洗濯物を畳む機械もない。簡単なご飯だって、量を作ればそれなりの時間はかかる。
そんな子どもの頃に見えなかった大変さを、
体でわかった時、
少しだけ大人になれた気がした。
#189
愛と平和
愛と平和なんて、
使い古された、
まともに取り合うには気恥ずかしい言葉だと
私は思った。
それがどれだけ貴重なものなのか、
そばにあるときは気づかないんだ。
失われそうになって初めて気づく。
足元から地面が消えたような気持ちを。
愛していた人にもう会えなくなるかもしれない。
明日も生きていられるかなんて、
そんな保証など、どこにもなかった。
そんな世界に生きているってことを。
#188
お金より大事なもの
私にとってお金より大事なものは、
いろいろあるけれど、
でもいちばん大事なものは、
もうとっくに決まっている。
家族だ。
娘だ。
そして娘を育てていくためには、
お金がいるんだ。
同じように、
父や母もいろんなことがあっても飲み込んで、
懸命に働いて、私を育ててくれたんだろう。
#187
たまには
「たまには明るく笑えよ」
ほとんど話したこともなかった
クラスメートの彼からの言葉。
あの時はショックなだけだったけど。
なんでそんなこと気にしてたの?
今なら尋ねてみたくなる。
#186