ひなまつり
まだ風は冷たいけれど、
緋毛氈のうえで、
穏やかな春の日差しを浴びている
我が家のおひなさま。
父と母が用意してくれたものを受け継いだ。
小さな手で何度も撫ぜてしまったから、
おひなさまの滑らかな髪は、
少し乱れてしまったけれども、
澄ましたお顔は変わらないままで。
#185
たった1つの希望
パンドラは開けてはいけない箱を開けてしまい、箱に閉じ込められていたあらゆる災厄は世界中に逃れてしまった。その箱にたった1つ残されたもの、それは希望だった。
有名なギリシア神話を思い出す。
希望がなければ人は生きていけないと思う。
でも希望があるからこそ、諦めることができなくて苦しい日々を過ごす場合もあるだろう。
希望は人に残された善きものなのか、
それとも残された災厄の一つなのか。
#184
欲望
イタリア語で、Desiderio(デジデリオ)は望みとか願望、もっとダイレクトに言えば、欲望という意味になるらしい。
そしてイタリアでは、デジデリオという言葉を人の名前として使うことがあるそうだ。
名前に「欲望」なんて、とマイナスにとらえた私と違い、イタリアの人はそれを肯定しているようで、その感覚がとても新鮮だった。
ちょっと古い本ですが、私はこの本で知りました。
「デジデリオ―前世への冒険」森下典子
「あなたの前世は、500年前デジデリオという青年だったの」
ある女性にデジデリオという青年の生まれ変わりだと言われた著者は、史実を調べ上げて真実を探していくノンフィクション(多分…)です。
生まれ変わりなんて信じられない、と懐疑的な姿勢で書かれていたので、いわゆるトンデモ本よりは読み応えのある面白い本でした。
輪廻を信じるか?
気になる方はぜひ本書をお読み下さい。
人生をどう生きるかという著者の想いも伺えて、読後感は爽やかなものでした。
#183
列車に乗って
列車に乗って、どこに行こう?
晴れた海が見たいね。
温泉があるところがいいなあ。
梅が咲いている頃かな。
桃の花も見えるかもね。
窓からどんな景色が見えるだろう。
一緒に行こうね。
うん、必ず。
懐かしい、でも叶わなかった約束を
春になると思い出す。
#182
現実逃避
現実から逃げ出したくなる夜は、
ヘッドフォンで大好きな歌を大音量で聴く。
そこがただのベランダでも、
星さえ見えなくても、
ただの夜が、
違う世界に変わるような、
そんな気になるから。
#181