1年間を振り返る
コロナが終息し、マスクをするのが任意になり、少しずつ前の暮らしが戻って来たかなと思える一年でした。
コロナ前の普通は、いつもそこにあるわけではない。後悔しないように日々を暮らしていきたいです。
どうぞ皆さま良いお年を!
#135
みかん
テーブルの上に、
置かれたみかんは、
まるで冬の太陽みたい。
冷えた部屋を、
ほんの少し照らしてくれる。
そんな気がして。
#134
冬休み
子どもの頃の冬休みは、楽しいことがいっぱいだった。
まずはクリスマス。ケーキを食べて、靴下を吊るして、サンタさんからのプレゼントをわくわくしながら待っていた。どうしてサンタさんは私の欲しいものがわかるのかな? いつも不思議だった。
それから年賀状を書いて、しぶしぶ窓拭きをして、紅白歌合戦を見ながら年越しそばを食べる。
お正月になったら初詣での屋台が楽しみだし、何よりスキップしたくなるくらいお年玉が嬉しかった。
いま、私の冬休みはとにかく忙しい。
毎年追われて追われて、何とか新年を迎えたら、あっという間に三が日が終わる。
あーあ、ゆっくり温泉にでも行きたいなあ。
#133
手ぶくろ
お父さんの黒い手ぶくろを、
こっそりはめてみる。
大きい。
指が余ってるし、手のひらだってぶかぶかで、
全然合わない。
やっぱりお父さんの手は大きいんだ。
合わないことが嬉しかった、小さいわたし。
#132
変わらないものはない
十年以上通っていた美容院が、この秋で閉店してしまった。
女性二人でやっていたお店で、私の家から近いし、話題にも困らなくて、とても居心地が良かったし、ずっとそこにあるものとすっかり安心していたから、かなりショックだった。
変化はあった。まずこの夏に私をずっと担当してくれていた美容師さんが辞めた(お別れも言えなかった)。その後は店長さんが一人で頑張っていた。前に行った時、店長さんはかなり痩せていて、「病気じゃない」と言っていたけど、やっぱり体調が良くないのか。そう思って、恐る恐る店を閉める理由を尋ねてみると、地方に移住すると言う。
(移住!?)
四半世紀続けたお店を閉めて、五十歳(だそうだ)から新たな場所でリスタートする。
店長さんの陽気な笑顔の下で何があったんだろう。どんな思いがあったのか。
心配になったけれど思い直した。
大人になってからの人生は、短いようで結構長い。変化が欲しいと思うなら好きにしてもいいじゃない。一度きりの人生だもの。
彼女には美容師としてずっと働いてきた腕があるし、健康さえ気をつければ、どこでもやっていける人だろう。
変わらないものはない。
その言葉には何となくマイナスのイメージを持っていたけれど、まだ変わっていけると新しくとらえ直そう。
そして彼女の次の挑戦が充実したものでありますように。
#131