クリスマスの過ごし方
「プレゼントがあったよ!」
クリスマスの朝はその声から始まる。
さっそく包装を開けている背中に、
「そろそろ今年でサンタさんも終わりかなあ」と声をかけると、
「高校生まで来て欲しい」と言われて絶句した。
特別なことは他に何もないけれど、
今日のおやつにはイブに一緒に作ったホールケーキの残りを食べよう。
デコレーションは歪んでいても、生クリームにチョコ生地、苺とバナナをたっぷり使ったその美味しさに顔を見合わせてにっこりする。
後はあなたが頑張って練習していたホール・ニュー・ワールドを弾いてくれないかな?
そしたら最高のクリスマスだ。
こんなクリスマスの過ごし方は、あと何回できるんだろうね。
#130
イブの夜
イブの夜、0時を過ぎたら、
わたしはサンタになって、
眠る娘の部屋のドアをそっと開けるだろう。
密やかなメリー・クリスマス🎄
#129
プレゼント
プレゼントという言葉には、事前に準備されたという意味があるそうだ。
大事な人に贈るために、これは似合いそうだとか、こっちの方がいいかなとか、迷いながら選ぶ時間はとても楽しい。
もちろんプレゼントをもらうことも嬉しいけれど、プレゼントを選び、受け取ったあなたの顔を想像していると自然に口元がほころぶほど、幸せな気持ちにさせてくれる。
Present for you. Thank you for everything.
#128
ゆずの香り
冬至のゆず風呂は冬のお楽しみの一つ。
レモンほどの華やかさはなくても、もっと陰影があるゆずの香りは、日本の香りという感じがする。
かぼちゃは食べなくても、このくらいは季節を楽しむ余裕を持っていたい。
テレビを見るとカピバラが気持ちよさそうに温泉に浸かっている。
昔テレビのゆず風呂のニュースには、ニホンザルの映像がよく使われていたけど、最近はすっかりカピバラにその座を奪われてしまったみたいだ。
これも時代だね。
#127
大空
青い空を見上げてあなたは言った。
「空ってさ、地上からどのくらい先まで見えてるか知ってる?」
「えっ、知らない」
「大体20km先まで見えてるんだって。ほら、あれ見える?」
伸ばした人差し指の先に、白く光るジェット機が空高く飛んでいく。
「ジェット機は高度約1万メートルの上空を飛ぶから、それよりかなり遠くまで見えてるんだ。――なんかすごいよね」
大空を見上げると、消えてしまった人のそんな言葉を思い出す。胸の痛みは消えないのに、なぜか救われている。
#126