心と心
世の中に溢れるお揃いたちは、
目に見えない心と心の繋がりを可視化するギミック。
ペアカップに、家族色違いの御守りに、スニーカー。
効果なんてないと思っていたのに、
目に入ったら、少しだけ元気になれるみたいだ。
単純だね。
#116
何でもないフリ
何年か前、父が退職する少し前だったかと思う。母が言った。
「お父さんはいつも同じように帰ってくるよ。仕事から帰って来る時、いつも態度が変わらなかった。……偉かったよね」
父は仕事の愚痴を家で言う人ではなかったので、いろいろあることを察したうえでの母の言葉だった。
自分が家庭を持ってから、その意味がよく分かるようになった。不機嫌を家に持ち込まれると周りはまあまあ気を遣う。
何でもないフリは、父の意地と家族に心配をかけまいとする思いやりだったのだろう。
高校卒業からずっと同じ小さな会社で働き続けた父。有給休暇などなかった。
長い間お疲れ様でした。でも心配をかけないようにされるのも心配なんだよ、お父さん。
#115
仲間
わたしは、このアプリをしている方を、文字を綴る仲間と思っています。(何人くらいいるんでしょうね?)
誰に読まれなくても仕方ないと思いながら始めたけれど、読んでもらったことがハートでわかるから嬉しくて。
その嬉しさは、続けるための大きな力になっています。
ありがとう ♡♡♡
#114
手を繋いで
手は繊細で、
だけどとっても我慢強いから、
誰とでも手を繋ぐことは、多分できる。
だけどあたしが、
この手を繋ぎたいと思うのは、
好きな人だけ、
心を繋いでいきたいと思う人だけなの。
わかってよ。
#113
ありがとう、ごめんね
ありがとう、ごめんねを素直に言える方がいい。
それが正しいことだからとずっと思っていた。
でも違った。
それを言える子の方が幸せなんだ。
ありがとう、ごめんねを素直に言えないあの子は、
いつも小さな肩を精一杯怒らせている。
何度も傷ついてきたことを隠しているんだろう。
あなたが一番優しくして欲しい人達は気づいていないんだ。
繰り返される言葉の棘は、柔らかな心を固くしてしまう。
皮肉も婉曲も要らない。
それは大人に使う技術で、子ども達を幸せにしない。
愛しているなら傷つけないで。
愛してることを素直に伝えて。
それだけでいいのに。
#112