逆さま
逆さまって、
あんまり良い意味では使われない言葉だけど、
逆さまに覗いた世界は、
いつもと違った景色が見えるんだ。
まるで魔法みたいに。
きっとあなたの周りもそうだよ。
だってほら、昔の人も股から覗いて言ってる。
青い海を天に見立てて、橋をかけて、
空に龍が飛ぶのだもの。
見つけてみてね。
※ラストの場所わかりますか?わかってもらえたら嬉しいです!
#110
眠れないほど
今日、キスをした。
いや、もう昨日になるかな、4時間くらい前のことだ。
君との初めてのキスを思い出しては、ため息をついている。
ベッドに入っても全く眠れそうになくて、寝返りを繰り返す。
柔らかい君のくちびる。
触れた時、少し震えて、ほんのり冷たくて、それから熱くなった。
あのみずみずしい果物みたいなくちびるの感触を、何度も頭の中でなぞっては身悶える。
胸が破裂しそうになる。
ときめきと熱で眠れないほどの夜。
いま君は何をしてるんだろう。眠れているんだろうか。
#109
夢と現実
「なんで助けてくれなかったの!」
「そんなことを言われても……」
「私を置いて逃げるなんて、ひどいよ!」
弱ったな。結構本気で怒ってる。
「ちょっと落ち着いて。……あのねえ、夢の中のことで怒るのやめてくんない?」
「普段のあなたのせいで、私がこんな夢見るんだから仕方ないでしょ!」
「あーハイハイ」
これは今朝の話。君の夢と現実の僕。ホント理不尽だよな。
でも君が、こんなワガママを僕にしか言わないのもわかってる。だから時々だったらいいよ。
#108
さよならは言わないで
あなたは準備をさせてくれた。
そのまま消えてしまうこともできたのに、
傷つくだろうと私のために時間をかけて。
だから寂しいけれど、恨みはしない。
今は笑って見送ろう。
いろいろ思い出をありがとう。あなたと過ごした時間は私の大事な宝物になりました。
あなたを決して忘れない。
いつかまたどこかで。
#107
光と闇の狭間で
『戦場にも笑いはあるのだ』と、どこかで読んだ。
すぐそばに死が迫っていても人は笑い、そんな極限でも人は生きていく。人の強さと弱さ。
太陽を直視できず、暗闇では何も見えない。人は完全な光の中でも闇の中でも、生きてはいけないだろう。
そんなことを考えながら、今日も私は光と闇の狭間、明暗の混じり合うこの世界で呼吸している。
捨てられない自分を抱えている。
#106