脳裏
頭の中が忙しい。
溢れる情報、不安、やるべきことのetc.
いろんなものがずっとぐるぐる回っている。
もういっぱいなんだけど。
やる気とか、集中力とか、根気とか、大事なことが損なわれている。
クリーンアップが必要だ。
ああ、頭の中身をどこか別のところに保管できたらいいのにね。
#83
意味がないこと
意味がないことって何だろう。
試してみなきゃわからない。
でも世の中にはたくさんの物事があるから、
たとえ百万回生きたとしても、全部を経験するなんてできやしない。
私には意味がなくても、誰かにはとても大事なことだってあるだろう。
だから少なくとも『自分には』意味がないことと、限定しないといけないんじゃないかな。
そして誰かを故意に傷つけない限り、それは意味がないと決めつけないでおこうと思う。
まず自分は何が好きで、何をしたくなくて、どんな風に生きたいのか。
それがわかれば、自分にとって意味がないことがよくわかる気がする。きっと身軽になれる。それには自分をよく知るしかない。
でも意味がないと思うようなことが、すっごく楽しい時もあるから困るんだなあ。
#82
あなたとわたし
わたしが、
わたしたちになって、
いろいろあった後に、
あなたとわたしになった。
それでいい。
そして最後は再びわたしになるの。
それもいい。
#81
柔らかい雨
ヤバい、降りそう。
空がどんどん薄暗くなっていくのを電車の窓から見ていた。最寄り駅の改札を急いで抜けて、外に出る頃にはすでに道路が濡れていた。
「あぁ〜、降ってきちゃった……」
一人言を呟いてしまう。傘は持ってない。周りには私と同じように空を見上げている人が何人かいる。
小雨だし、マンションまで歩いて5分。走れば、と一歩踏み出しかけた時、黒い傘を差した彼が足早にこちらに歩いてくるのが見えた。嬉しくて大きく手を振る。
彼は私を見つけると、手を振り返す代わりに傘を上下に少し揺らした。
「迎えに来てくれたんだ、ありがとう」
歩く速さを緩めて近づいてきた彼にそう言うと、
「この電車に乗るって、LINEくれてたから……」
微妙に外した返事が返ってくる。
「でも、ごめんな」
「何が?」
「傘これしかない。急いでてそっちの傘持ってくるの忘れた。だから入って」
「そっか。ふふ、相合い傘なんて久しぶりだね」
大きな傘だけど、大柄な彼と二人ならギリギリだった。なるべくくっついて歩き始めると彼はこちらに傘を傾けてくれる。彼の肩に雨粒がポツポツと落ちている。
「こっちは大丈夫」
私は彼が持ってくれている傘の柄を真っ直ぐに戻す。
「こっちも大丈夫」
彼はまた私の方に傘を傾けた。彼の顔を見上げると、彼は少し笑って視線を前に向けた。
生活の中でしばしば示してくれる、彼のこういう親切さがとても好きだ。
私は黙って両手で彼の手を包むと、そのまま少しだけ傘の柄を彼の方に戻した。
「それで今日はね……」
手を離すとさっき途切れた話の続きを始める。家まで5分のランデヴー。柔らかい雨が包むように降っている。
#80
一筋の光
あなたのひっそりとした優しさは、
深い穴の底へ届く一筋の光のようだった。
その光を両の手のひらで掬い上げれば、
手のひらは光で満たされて、暖かさが手から全身に伝わっていく。
強い光だけを見つめていれば、気づかなかっただろう。
でも確かに光はここにあって。
#79