遠い日の記憶
病院で恐らく親に抱かれて見ていたのだと思う
曽祖父がベッドに寝てて氷を欲している
自分の中にある最古の記憶
あれはなんだったのだろうか
大人になってもたまにふと思い出す 遠い日の記憶
空を見上げて心に浮かんだこと
青い空と大きな雲
子どもたちの無邪気な声
木々の揺れる音
虫の鳴き声
もう会えなくなった人
耳を澄まして脳内に景色を浮かべる。
想像力を通していろんな情景に出逢うことができた。
実体験には届かず少し切なくもなったけど、
このひとときは日常の雑念を忘れられた。
明日もまた変わっていく空を見上げよう。
それは自分の心に映る小宇宙だ。
この先どんな景色が見れるのだろうか。
小さな希望を胸に刻んだ。
終わりにしよう
終わりにしよう
彼女は僕にそう言った。
急な言葉に動揺して心臓がビクつく。
なんとなく覚悟はしていた。いつそう言われるか内心怯えてたが、実際に言われると心の中はうろめいている。
今までありがとう。
諦めつかない心を諦めて、振り絞って言葉にする。
振られたのに情けないと思いながら僕はそう返した。
理由は聞かなかった。いや、聞けなかったのだが、
思いた当たる節はいくつかあった。
自分でも自身に疑問を持つことはいくつもあったのだ。
これまでの自分の行いを後悔して自己嫌悪に苛まれる。
彼女の振る舞いから僕に対する好意はわかりやすく消えていて、二人の間の空気は冷えきっている。
無音の真空状態の中に長時間いたような感覚を覚えた。
はっと自我を取り戻すと、もう彼女は次に進んでいるのが見えて僕の心だけが乗り遅れている。
もう終わりにしよう。僕は心の中でつぶやいて最後に握手を求める。彼女は握手に応じてくれた。
これはお互いが幸せになるためだ。
そう言い聞かせて彼女とは反対の道を歩き始める。
外は雨が降っている。風が吹いて枯れ葉が落ちる。
何度も二人で通った道を一人で反芻しながら家路につく。
これまでずっと
生きてきた。ただ生きてきた。
数少ない続いているものだ いやそれしか選択肢がないもの
もし終わりのスイッチがあるとしたら、押しているタイミングは何度もあったと思う。
それでもなんだかんだ生き延びてきた。
いつしか肥大化していた自分にムチを入れて
社会の正解に擬態する日々。
自分自身でそれを選んで生きてるはずなのに。
明日がまた始まる前に、つかの間の夢に溺れていたい。
目が覚めると
そこにはなんてことない現実の世界
夢であってくれと思うがそれはそうじゃない
目の前にあるのは代わり映えしない景色だ
ボッーとした頭を掻き、重い腰を上げるが
同じ日々を繰り返してるようで虚無感に襲われる
人生のストップウォッチは止まらない
あーそろそろ生きることに目覚めないと!
まずは目覚まし時計から探そう