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終わりにしよう

終わりにしよう
彼女は僕にそう言った。
急な言葉に動揺して心臓がビクつく。
なんとなく覚悟はしていた。いつそう言われるか内心怯えてたが、実際に言われると心の中はうろめいている。
今までありがとう。
諦めつかない心を諦めて、振り絞って言葉にする。
振られたのに情けないと思いながら僕はそう返した。
理由は聞かなかった。いや、聞けなかったのだが、
思いた当たる節はいくつかあった。
自分でも自身に疑問を持つことはいくつもあったのだ。
これまでの自分の行いを後悔して自己嫌悪に苛まれる。
彼女の振る舞いから僕に対する好意はわかりやすく消えていて、二人の間の空気は冷えきっている。
無音の真空状態の中に長時間いたような感覚を覚えた。
はっと自我を取り戻すと、もう彼女は次に進んでいるのが見えて僕の心だけが乗り遅れている。
もう終わりにしよう。僕は心の中でつぶやいて最後に握手を求める。彼女は握手に応じてくれた。
これはお互いが幸せになるためだ。
そう言い聞かせて彼女とは反対の道を歩き始める。
外は雨が降っている。風が吹いて枯れ葉が落ちる。
何度も二人で通った道を一人で反芻しながら家路につく。

7/16/2024, 9:59:27 AM