下弦

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10/21/2024, 10:08:40 AM

君が起きるまで、何度でも君の名前を呼ぶよ。
何度でも、何度でも、声が枯れるまで。
だからさ、早く目を覚ましてよ。
今度は僕の名前を呼ぶ君の声が聞きたいな。



お題:声が枯れるまで

10/20/2024, 10:14:21 AM

恋の始まりはいつも突然だ。
それが年頃の乙女のものなら尚更に。
とある少女は恋をした。
絵画の中の美しい青年に。

いつしか青年は心を持った。
少女も知らない間に。
そして青年は恋をした。
二人は愛し合っていた。

少女は涙した。青年は嘆いた。
二人の恋が結ばれないことに。
青年は思いついた。
二人が永遠に共にいる方法を。

時は流れとある美術館。
そこに飾ってある一つの絵画。
そこに描かれていたのは、青年と少女の姿。
少女のドレスは、まるで血のような紅に染められていた。



お題:恋の始まり

10/19/2024, 12:40:15 PM

昔々と言うでもないほどそう遠くない昔、とある教会に二人の少女と一人の青年が住んでいました。

ある日突然、少女が一人死んでしまいました。
少女はもう一人の少女が大好きでした。
少女は大好きな子が心配で死にきれず、お化けとなりました。

もう一人の少女は青年に憧れを抱いていました。
いつかはこの教会で、とベールを被ることを夢見ていました。本当は、大好きな親友にも祝ってもらいたかったけど。

青年はお化けとなった少女に恋していました。
その愛情は歪んで元の形が分からないほどでした。
深く深く、愛していました。
お化けに近づくため、彼は自分に向けられた少女の憧れを利用しました。

お化けは少女を弄ぶ青年が許せませんでした。
お化けは自分に向けられた愛を知らないままでした。
青年を許せなくて、親友を守るため、お化けは青年を呪い殺してしまいました。
お化けの愛情もまた、歪んでいました。

青年はお化けとなりました。
お化けは親友を守ろうとしました。
少女は大事な人が皆いなくなってしまいました。

少女はひどく悲しみました。たくさんたくさん泣きました。
お化けは少し罪悪感を覚えました。そして少女をずっとずっと見守ろうとしました。
青年は大変喜びました。

何故かって?



お化けになれたら、愛する人をずっとずっと離さないでいられるからです。


めでたしめでたし。


お題:すれ違い

10/18/2024, 10:17:08 AM

静かな図書館、ガラス張りの一面から差し込む陽の光。
秋晴れの青い空の下、ふたりは古い本を読む。
昔々の物語、とある人間と鬼の恋のお話。
鬼に恋した人間は、村の掟に従い涙零しながら鬼を斬った。
ふたりは約束した。来世はふたりでずっと一緒にいようと。
かつての世の恋したふたりは、今は揃って人と成り。
二人仲良く文字を眺めてる。

秋晴れの図書館のお話。



お題:秋晴れ

10/17/2024, 12:17:53 PM

あなたはだあれ、ひらがなが読めないからあなたの名前が分からないの

忘れられないよ あの雨の日、自分の黄色い傘を貸してくれたあなたのこと

あなたはおうちが遠いから、傘がないと濡れちゃうのに

「家が近い」なんて嘘ついて、傘を押し付けて雨の中走ってったあなたにもう一度会いたくて

傘についてた名札に名前が書いていたから、頑張ってひらがなを覚えたのに

名札が雨で滲んで読めなかったの

傘を返しに会いに行っても、あなたはもうあの時のことを忘れちゃってたから

悲しくって、名前も聞きそびれちゃった

あーあ




なまえがあったら、こっちがわにつれてこれたのに


お題:忘れたくても忘れられない

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