昔々と言うでもないほどそう遠くない昔、とある教会に二人の少女と一人の青年が住んでいました。
ある日突然、少女が一人死んでしまいました。
少女はもう一人の少女が大好きでした。
少女は大好きな子が心配で死にきれず、お化けとなりました。
もう一人の少女は青年に憧れを抱いていました。
いつかはこの教会で、とベールを被ることを夢見ていました。本当は、大好きな親友にも祝ってもらいたかったけど。
青年はお化けとなった少女に恋していました。
その愛情は歪んで元の形が分からないほどでした。
深く深く、愛していました。
お化けに近づくため、彼は自分に向けられた少女の憧れを利用しました。
お化けは少女を弄ぶ青年が許せませんでした。
お化けは自分に向けられた愛を知らないままでした。
青年を許せなくて、親友を守るため、お化けは青年を呪い殺してしまいました。
お化けの愛情もまた、歪んでいました。
青年はお化けとなりました。
お化けは親友を守ろうとしました。
少女は大事な人が皆いなくなってしまいました。
少女はひどく悲しみました。たくさんたくさん泣きました。
お化けは少し罪悪感を覚えました。そして少女をずっとずっと見守ろうとしました。
青年は大変喜びました。
何故かって?
お化けになれたら、愛する人をずっとずっと離さないでいられるからです。
めでたしめでたし。
お題:すれ違い
10/19/2024, 12:40:15 PM