「泡になりたい」

人魚姫の
明日の朝海の泡になってしまう

どんなに愛していても
伝えなくては意味がないの？
伝わらないこともあるでしょう
伝わらなくてもいいと思うこともあるでしょう

朝に海の泡になりたい
広くて
深い
海の泡に。

「君だけ」なんて口にしてはダメ

毎日毎日繰り返される
特に何事もない日常
退屈という貴重な時間
今日がわたしにあるという幸せを
知らなかった
明日が来るという当たり前は無かった
それを知ったことも、今日が過ぎていくことも奇跡だった

二人だけの秘密
彼女には内緒。
冷房の効いた図書館の片隅
冷たい唇
夏の夜空と
線香花火、落ちた。

会えない時間
終わる恋

ありふれた
余りにありふれたふたり。
二人だけと錯覚したわたし。

入道雲に飛び蹴りしたかった。
学校のプールに飛び込んだ。
入道雲は揺れながら、笑っていた。

あの頃、夏は永遠に続くようで。
籠った熱がぬけないように
毎日がとても息苦しかった
終わらないものなどないのだけれど、
それが分からなかった