大事にしたい
僕は今までだれかに愛された事がなかった。両親にも友達にもましてや恋人なんて居なかった。だから愛とは一体なんなのかがわからない。どういう気持ちになるのか。そしてそんな僕に今日好きだと言ってくれた人がいた。僕は試しに付き合ってみることにした。その後も彼女は僕に愛を伝えてくれた。僕からは伝えることは無かった。ある日彼女部屋でデートをしているとしたからガラスの割れる音がした。僕が急いで行ってみると彼女は父親らしい男に襲われていた。僕は勇気をだして助けた。案の定ものすごく殴られた。僕は彼女の手を引いて家を出た。出たあと、彼女の方を見ると彼女の目から大きな雫が落ちていた。……無理もない殴られそうになった挙句優しい彼女なら自分のせいで他人が殴られたなんて辛いこと極まりないだろ。そんな彼女に少し親近感が湧いたのか、僕は彼女にこれまでのことを話した。彼女は最初は驚いた。その後大粒の雫をボロボロ零しながら笑った。どういう気持ちなんだろ。けれど、その表情に僕はどこか嬉しくなった。彼女はこれから一緒に愛をみつけようと言ってくれた。彼女はどこまでも優しかった。愛はまだを分からないけど、それを一緒にみつけようとしてくれる彼女を僕は大事にしたい、守っていきたい。
時間よ止まれ
お願い止まって
まずいんだ。今月中に提出しないといけないものが山ほどあるのにもう1週間もない。
このままじゃ提出できずに叱られてしまう。
なんでも言うこと聞くから
なんでもあげっから。
止まってくれぇぇぇ
そんな切実な願いが届くはずもなく僕は虚しくも今月の最終日に来てしまった。
――――クソッタレ
夜景
たまたま生徒会の仕事が進まず、終わったのが6時だった。
夏ならまだ明るい時間だが、冬なのでもうすっかり暗くなっていた。
先生が送ってくれると言うので、少し待っていることにした。
不意に窓の外を見る。
私は目を見開いた。なぜなら、あまりにも綺麗だったから。夜の学校、満月の光、街の灯り、これほどロマンチックな景色は無いと思った。それ以上に私は驚いていた。学校でこれほどまでに綺麗な夜景を見ることができるとは思っていなかったから。学校はどうやっても映えないことが多い、映えるところもあるけれどやはり私の目には映えるものには見えなかったのだ、がその考えがこの夜景を見て一瞬にして消え去った。
この景色を目に焼き付けんばかりに見ていると、遠くの方から先生の呼ぶ声が聞こえてきた。その声にハッとして、私は小走りで廊下を進んだ。
―また、見れたらいいな
花畑
風が吹く度、花が舞う。
私が歩く度、花が舞う。
ただ咲いている花よりも美しく見えるのは何故か。
花の一生は儚い。
ただしおれるよりも豪快に舞って散る方がきっといい。
私もあの花のようにただ静かに散るのではなく豪快に舞って散りたいものだ。
空が泣く
私が泣けば空も泣く。
私と空は一心同体、怒れば雷が鳴り嬉しいと太陽が照る
私の感情に合わせて空は変化する。
きっと今日まで沢山天気がコロコロ変わった。
そしてそれも今日で最後。
私は幼馴染に告白をした。
卒業式だから、せっかくなら晴れが良かったなぁ
けどもう大丈夫。もともと覚悟は出来ていたから。
たくさんの雨が私に降り注ぐ。
雨と共に私の目に光が差す。
あっ、狐の嫁入り