月明かりが降り注ぐ霊廟。
薄明かりの中そこにあるのは、半透明の少女。

奇病、水晶病を初めて発症した彼女。

満月の夜になると体のあちらこちらが結晶化した。
最初は脚、次は腕、更に眼とじわじわと少女の体を蝕んでいった。
最期は心臓が結晶化してしまい、少女は動かなくなった。うっすら笑みを浮かべた表情をして。

哀れに思った人々は少女に美しい部屋を用意して、そこへ彼女を安置した。
満月の夜になると少女は薄らと輝くのだった。

※この奇病は星人(ほしびと)と呼ばれる種族の間で稀に発症する病として記録されている。
冥き者(くらきもの)たちに見つからないように星人は彼女の部屋に魔法をかけた。

#秘密の標本

凍てつく夜空から消えたはくちょう座。
空で羽ばたくのに飽きたみたい。

#消えた星図

月光浴は私たち妖精たちの栄養のひとつ。
花の蜜をグラスに注ぎ月光浴をするの。
そうすれば日々の疲れも、すり減った魔力もなーんでも癒されるわ！
特に満月は格別よ。
でもこれ以上は教えてあげない。

#moonlight

死んだら全てが終わりだと思っておりました。
魂なんてものを否定していた私は死んだらそこでおしまいなんだと思っていましたが、それは間違っていたようです。
肉体という器から解き放たれた魂の旅が始まるのでした。
しかし一体どこまで続くのかは私にもわかりません。なにせ初めてのことですから。
ひとまず冥界を目指して旅を続けたいと考えております。

#旅は続く

蝉の抜け殻が木にくっついていた。
ただの蝉の抜け殻。
一生懸命生きた証にそっと目を閉じた。

#夏の忘れ物を探しに