月明かりが降り注ぐ霊廟。
薄明かりの中そこにあるのは、半透明の少女。
奇病、水晶病を初めて発症した彼女。
満月の夜になると体のあちらこちらが結晶化した。
最初は脚、次は腕、更に眼とじわじわと少女の体を蝕んでいった。
最期は心臓が結晶化してしまい、少女は動かなくなった。うっすら笑みを浮かべた表情をして。
哀れに思った人々は少女に美しい部屋を用意して、そこへ彼女を安置した。
満月の夜になると少女は薄らと輝くのだった。
※この奇病は星人(ほしびと)と呼ばれる種族の間で稀に発症する病として記録されている。
冥き者(くらきもの)たちに見つからないように星人は彼女の部屋に魔法をかけた。
#秘密の標本
11/2/2025, 11:33:03 AM