咲久我

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10/25/2024, 12:25:07 AM


「行かないで」


父と過ごした最後の土曜

わたしは母方の祖父母の家に預けられる予定だった

母が弟の出産で入院していて父は仕事があったから。

でもわたしは父と離れたく無くて、

父の足にしがみついた。

「お父さんと一緒に帰る!」

そう言って泣いて聞かなかった。

父は仕方なく仕事を休み、その日は父と2人で過ごした。

4歳のわたしは祖父母の家に置いて行かれることも無く、自分の家に帰れて大好きな父を独占できてご満悦。

「今日だけで、明日はダメだからな。明日はおじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まるんだぞ」

そう何回も言って聞かせた。



その次の日母は弟を出産。

父は仕事先から病院に面会に行き、

その帰りに倒れてそれっきりに。


あの時、聞き分けの良い子供にならなくて

本当に良かったと思う。


あの日以来わたしはずっと聞き分けの良い手のかからない娘になった。

産まれたばかりで父を知らない弟より、

父を知っているわたしは幸せな娘。


幼い子供を残されてシングルマザー母はかわいそうな人。

娘のわたしが助けてあげなければいけない。


甘えてはいけない、

わがままをいってはいけない。

我慢は義務。


泣いてわがままを言うことを許してくれる人は

わたしの世界からいなくなってしまった。


でももうそろそろ、

わたしはわたしに許してあげて良いだろうか


30年も時間も経った。

泣いてわがままを言える、

素直な本当の自分を

心の奥底に見つけて抱きしめる。

10/19/2024, 1:36:11 PM

最近気になる人ができた

ある日を境に職場ですれ違うようになった彼

若くてかなり仕事もできるらしい


もっと話して仲良くなりたいと思うけど、

人目を気にしてあまり長くは話せない

部署が全然違うから

接点がほとんど無い

女性の多い職場だと

勘のいい人には好意に気が付かれてしまう

「あの人絶対気があるよね、狙ってる」

とか思われたり陰で言われるのは嫌


大人になると恋愛ってこんなにめんどくさいの?

人目が気になって不自由で

学生に戻った気分


ただ、それでも

遠くから目が合った時の彼の表情や

最初は挨拶だけだったのに

すれ違うと短くても何か会話をしようとしてくれたり

髪型や服装とか
変化があると必ず気がついて声をかけてくれたり

期待してしまう

やっぱり私の気のせい?

それとも




10/18/2024, 10:55:49 AM


秋晴れ


side boy

クラスに好きな女子がいる

最近彼氏と別れたらしい

今年の夏も暑かった

夏休み、夏祭りや花火大会

海にキャンプにプール

本当は誘って一緒にいろんなことをしたかった

でも年上の彼氏がいるらしい彼女に

何も言えるはずも無く夏が過ぎた


秋晴れの空の下

さわやかな風が心地良い

でもきっとこの心地良さは

すぐに肌寒い冷気に変わってしまい

冬の足音が忍び寄るんだ


日が短くなった

夏の間はまだ明るかった夕方が

真夜中のように暗くなる季節は

なぜか寂しい気持ちになる


夏は逃したけど

次に彼女の隣にいるのは自分で在りたい

冬が来る前に

もっと2人の距離を縮めたい


side girl


最近同じクラスに気になる男子がいる

今年の夏は暑いだけでつまらなかった

年上の元彼は会う時いつも人目を避ける

夏祭りも花火も

海もプールも一緒には行けない

私は本気でも相手は違う

彼氏がいても寂しい夏

そんな自分は辞めて
相手より自分を大切にすることにした

今はさわやかな秋の風が清々しい


暑くてじめじめした不快な季節が過ぎて

乾いた空気が澄んで
新しい風が心に吹き込む


ただの友達だと思っていた同じクラスの彼が

なぜか最近気になってしまう

気が合って話しやすい

一緒にいると居心地が良い

もしも2人で出かけたら、

どんな気持ちになるんだろう


秋晴れの今日この頃

思い切って紅葉狩りに誘ってみようか