#37 『恋か、愛か、それとも』
恋か、愛か、それとも幻想か
目に見えない糸で結ばれたようなこの感覚は、
現実なのだろうか。はかなく燃え上がる「恋」なのか。
永遠を誓う「愛」なのか。それとも、ただ私の心が生み出した__まやかしの「幻想」に過ぎないのだろうか。
#36 『勝ち負けなんて』
勝ち負けなんて、ただのきっかけ
高校最後のインターハイ予選。
僕たちはライバルであり親友の拓真がいる北陽高校と対戦した。これまで一度も勝てなかった相手だが、
血のにじむような練習を重ねてきた。
残りわずか。拓真のシュートが外れ、リバウンドから僕にパスが渡る。拓真に阻まれながらも、僕はシュートを決めた。
ブザーが鳴り、僕たちの勝利が決定する。
拓真は悔しがるどころか
「やっと勝ったな、蓮。でも、次こそは負けないからな」
と笑った。僕たちは肩を組み、健闘を称え合った。
この勝利は大きかった。しかし、それ以上に大切なのは勝ち負けを超えた友情と互いを高め合うライバルの存在だ。
バスケを通して共に成長し、喜びも悔しさも分かち合ってきた。
コートでは全力を尽くしてぶつかり合うが、試合が終わればかけがえのない仲間。勝ち負けは単なるきっかけに過ぎない。
大切なのは共に情熱を燃やし、全力を出し切ったこと、
そしてこれからも続いていく僕たちの関係なのだ。
#35 『渡り鳥』
渡り鳥が遥か彼方の地を目指し、大空を舞う季節。
その力強い翼の動きは、まるで未来への希望を運んでいるようだ。同じように、私たちの目の前で小さな命が懸命に生きる赤ちゃんもまた、無限の可能性を秘めている。
渡り鳥が生まれ故郷を離れていくように、
赤ちゃんもいつか親元を離れ、それぞれの人生を歩み始める。
しかし、渡り鳥が季節が巡ればまた戻ってくるように、
赤ちゃんが育んだ絆は決して消えることはない。
大空を自由に飛び回る渡り鳥のように、赤ちゃんもまた、
自らの力で未来を切り拓いていくだろう。
私たちは、その小さな一歩一歩を温かく見守り、
応援するだけ。
#34 『さらさら』
さらさらと流れる夜風が、彼の顔にかかった黒髪を揺らす。
唇から滴る血が彼の正体が吸血鬼であることを静かに物語っていた。
#33 『これで最後』
何度もそう心に誓ってきた。
恋をしては、また傷ついて。裏切られたり、
すれ違ったり、手のひらを返されたり。
そのたびに「もう二度と恋なんてしない」と深く決意する。
でも、結局いつもそうはならない。
少し時間が経てば、新しい出会いに胸をときめかせ、
また恋に落ちている自分がいる。
まるで、何度も同じ場所に戻ってしまう振り子のように。
学習しない自分に呆れもするけれど、
それでも、きっとまた、この道を選ぶのだろう。
だって、それが「私」だから。