未夜野

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8/29/2023, 10:52:59 AM

突然の君の訪問。

ピンポーン

呼出音が鳴り、扉を開けると

「...来ちゃった」

そんなドラマチックな登場なら
僕の心臓の速さも
まだ人並みだっただろう

君は足音もなくやってくる
気付いたらそこにいる

目の悪い僕は
そんなはずはないと
一瞬目を逸らす意識が働くものの
そんなはずがないと
凝視してしまう

やっぱり
君はそこにいる

...ッハ....ッハ

短い呼吸
一気に鼓動が駆け上がる

なにか....なにか!!!

目は逸らせずに
武器になる物を必死にイメージする

手はワタワタと動き
足は逃げ足へと変わる

あぁ、どうすれば

最善策のシュミレーションを始めようとした時
相手が動き出してしまった

やばい

とにかく何かしなければ

どうすればいい

頭が真っ白になりかけた、
その時



スパン!!!



鋭いスリッパの音が鳴り、
心配しつつも呆れを含む目がこちらを見ている

「....大丈夫?」

目の前の敵は出際よく新聞紙に包まれ、
ゴミ箱へと放り込まれた

「今日の晩飯、外でどう?」

「あ、おう、いいね」

「....」

空気はもう、いつ行ける?だ

心臓はまだ
敵と対峙しているかのように飛び跳ねているが
僕は急いで準備を始めた

これは、
どっちの跳ね方だ?

8/28/2023, 3:55:45 AM

雨に佇む

急な雨が降ると
普段は何となく見ているちょっとした屋根に
人が集う

皆同じ格好をして

あぁ、生き物だったと思わされる

8/27/2023, 1:39:31 AM

私の日記帳

少し前の日記を読む
あぁ、こんな事もあったな

もう少し前の日記を読む
この時はこんな気持ちだったか、そうだったか?
忘れている

ずっと前の日記を読む
なんてつまらない、勝手な言葉なんだと
自分で自分を疑う

どうやら私は
この時の私を飛び越えて
随分遠くまでやってきたようだ

まぁ悪くない
見晴らしの良い、気持ちがいい場所だ

今はまだ、遠いあの地平線も
その先には
理解さえしがたい世界があるのかもしれない

その時私は何を思うのか

ただ、気持ちがいいと思えるのなら

8/25/2023, 3:25:12 PM

向かい合わせ

最初はドキドキした
目が合うと気まずくて
サッと逸らしたり
変な笑みを浮かべちゃったり

次第に嫌になってきた
ジロジロ見られてる気がして
好きだよとか
やめてよ
何食べてるのとか
聞かないでよ

もう、今になっては良い思い出だね

そこにいないと寂しい
隣にいないと不安
一緒にいるけど一緒ではない
横に並ぶと触れ合って
向かい合うとキスをする

当たり前に日常で
ありがたい幸せ

8/23/2023, 9:52:07 PM

海へ

何もかも嫌になった

自分を悪いと思いたくない
でも多分悪くて
でも何が悪いかわからない

精一杯生きているはずなのに
理解されなくて
頑張り方を間違っているとしても
他にどう頑張ればいいのかわからない
でも自分だけは
頑張っていると認めたい
のに
認めきれない
味方になりきれない

自分を責めればいい
そして鼓舞すればいい
と思ってやろうとすれば
責めている時点で
辛くて聞いていられない

弱い
自分は弱い

何もかも捨てたい
そして
ただ 自分 だけで

責められない
認めてもくれない
ただそこにあるだけの

海へ

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