未夜野

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突然の君の訪問。

ピンポーン

呼出音が鳴り、扉を開けると

「...来ちゃった」

そんなドラマチックな登場なら
僕の心臓の速さも
まだ人並みだっただろう

君は足音もなくやってくる
気付いたらそこにいる

目の悪い僕は
そんなはずはないと
一瞬目を逸らす意識が働くものの
そんなはずがないと
凝視してしまう

やっぱり
君はそこにいる

...ッハ....ッハ

短い呼吸
一気に鼓動が駆け上がる

なにか....なにか!!!

目は逸らせずに
武器になる物を必死にイメージする

手はワタワタと動き
足は逃げ足へと変わる

あぁ、どうすれば

最善策のシュミレーションを始めようとした時
相手が動き出してしまった

やばい

とにかく何かしなければ

どうすればいい

頭が真っ白になりかけた、
その時



スパン!!!



鋭いスリッパの音が鳴り、
心配しつつも呆れを含む目がこちらを見ている

「....大丈夫?」

目の前の敵は出際よく新聞紙に包まれ、
ゴミ箱へと放り込まれた

「今日の晩飯、外でどう?」

「あ、おう、いいね」

「....」

空気はもう、いつ行ける?だ

心臓はまだ
敵と対峙しているかのように飛び跳ねているが
僕は急いで準備を始めた

これは、
どっちの跳ね方だ?

8/29/2023, 10:52:59 AM