こし

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6/18/2024, 2:18:07 PM

落下

船に乗って海を見下ろしていると、このままこの海に落下したらどうなるかなといつも考える。
高い所から見下ろして、落下したらどうしようとなるのとは少し違う恐怖があって、どうしても考えるのをやめられない。

海に落ちても、しばらくは生きているだろうし、もしかしたら誰かが気づいてくれて助けられるかもしれない。
でも、誰にも気づかれず静かに1人海で揺蕩っている時間が長くなるだろうと思うと、その絶望感に胸が締め付けられる。
怖くて絶対に落下したくないと、船内に戻るのに、また甲板に出て同じことを考えてしまう。

別に人生を終了させたいわけじゃない。
それなりに心弾む瞬間や湧き上がる高揚感だってある。
でも、船に乗ると落下したくなる。
いつか本当に手すりを乗り越えそうで、しばらくは船に乗るのを控えようと心に決めている。
でも、この恐怖を再び味わいたくてまた船に乗っちゃうんだろうなあ。

6/15/2024, 2:32:54 PM

今の私は出会ってきた言葉たちでできているな、と思う。
人に言われた言葉や心に残る歌詞やCMのキャッチコピーなんかも。
その中でも一番割合を占めているのは、やっぱり本。
何度も読んだ好きな本から得た言葉たちは特に私の土台になっている。
言葉って自分の中で一度意味を咀嚼して頭の中で考えるから、残りやすいんじゃないかなぁなんて感じている。
そして本を読んだときは言葉と同時に感情も湧き上がってくるからなおさら!
その上好きな本なら何度も読むからさらに倍々に自分の中に取り入れちゃう。
もちろん、愛くるしく美しい言葉ばかりじゃない。汚くて嫌悪感があって目を背けたくなるようなものもある。


それでも私の中に残る、私を形作ってくれる言葉をたくさん得たくて今日も好きな本を読んでしまう。

5/19/2024, 2:03:33 PM

二度と会えないなんて知らなかった。
知ってたらあんな言葉言わなかったよ。
もっと笑顔でいってらっしゃいって言ってた。
オレがあんな言葉言っちゃったから、あなたは帰ってこなくなっちゃったんじゃないの?
そんな超常現象あるわけないのに、言霊っていう言葉がまとわりついてくる。
というか、そもそも知ってたら行かせなかったけど。
泣き喚いて絶対に離れなかったのに。
過去に戻れたらいいのに。
これはあなたがいなくなってから、何万回と繰り返し考えたこと。

突然の別れはあまりに突然すぎて、日常が変化しすぎて、ついていけなかった。
お腹がすくとか、眠くなるとか、トイレにいきたいとか自分の身体におこる現象は変わらず続いているのに、あなたがいないっていう非日常が常に側にあって、そこばかりが浮き彫りになってわけがわからなすぎた。

それでもあなたがいない非日常はだんだんと当たり前になってしまって、ただの日常になってしまった。
そんな自分が許せなかったよ。
その時期はちょっとだいぶ苦しかった。

今は少しあなたがいないこの世界を生きていく覚悟ができ始めたと思うんだ。
あなたと同じ世界に行きたいけど、それはあと何十年後のお楽しみにしておくよ。
その時はあんな言葉言いやがってって怒ってね。
オレはごめんって言うから。
その後にオレを置いていきやがってって怒るから。
その時にあなたが言ってくれる言葉を想像しながら今日は眠ることにするね。



5/17/2024, 2:21:23 PM

真夜中に目が覚める。
真っ暗で静かで世界が小さくなったみたい。
少しの心細さと非日常の高揚感。
どちらも感じられる不思議な感覚をもっと味わっていたくて、ますます眠れない。
でも、真夜中の人を飲み込む力はとても強くてだんだん不安が強くなる。
このままずっと真夜中だったらどうしよう、なんて有り得ないことを考え出してしまう。

そんな時は、隣りにいるあなたに抱きついて温もりで不安を消してもらうんだ。
そうしたら徐々に瞼が重くなって、眠りの世界に入ってく。
次に目が覚めた時、世界は明るく新しい1日が始まっているはず。
そうして、たっぷりの光の中で少しだけ真夜中の暗さを懐かしく思うんだ。

3/28/2024, 3:12:19 PM

あの子が笑ってくれるとわたしの体温は一度上がる。
あの子が話しかけてくれるとわたしの周りは彩度が上がって輝き煌めく。
あの子に見つめられるとわたしの全身をエネルギーが駆け巡って細胞を生まれ変わらせる。
あの子だけがわたしの身体に影響を与える力を持っている。

空想上の怪物であるメデューサは、元々はとても美しかったらしい。
目が合うと石にしてしまう力は神によってもたらされた呪いではあるけれど、怪物になる前のメデューサにも石にするまでではなくとも、見つめるだけで相手に何らかの影響を与える威力はあったはずだ。
だからこそ、怪物になった後にそれほどの能力を手にしたのだろう。
美しさはやはり罪なのだ。

あの子もとても美しい。
わたしをこれほどまでも変えてしまうほどに。
わたしの世界をあなたであふれさせてしまうほどに。

こんなわたしを少しでも憐れんでくださるのであれば、どうかわたしだけを見つめる存在になってくれないかな。

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