安心と不安/老いた自分と
ひとは大昔から
火を囲み
井戸を囲み
一人ぼっちではなかった
今も一人ぼっちのようでそうではなく
知らない誰かに繋がっている
食べるためにも一人ではない
でも
一人暮らしのやもめには
誰かと話すこともなく
うっすら背中が不安だったり
心配の憂鬱が脚にいたりする
かつて家族団欒を囲んだ安心感は
大いに肯定感で満たされていた
その時は気づかない心持ち
あの子はどうしているかしら
そんなこともふと浮かぶ
それでも時間は襟を掴んで連れて行く
明日の私はどうなっているだろう
逆光/光の中へ
私たちの喜びは
逆光の中でくっきりと浮かび
記憶に長い光の帯になる
私たちの若さは
跳ね回る力が映る影絵
夏の眩しい光を受けて
私たちが大人になったら
穏やかに繋がる
今を共に携えて
陽に向かおう
美しく屹立した夢の目標は
眺めたあと向かって行こう
逆光は光の中へ向かうから
怖い事もあるけれど
ときに縮こまって休みながら
悲しみは内に秘めて
生きていこう
前へしか時間は動いていないから
時には見間違うけれど
プリズムで散らすのは辞めておこう
多分、陽の方向に道はあるから
こんな夢を見た/夢は蒸発する
縁起の良い夢も
楽しい夢も
起きた途端に分からなくなる
蒸発するように
見た夢が思い出せなくて
面白かったと思いが数分続いても
続きが見たくても
思い出せないし
普段夢見てたのか
分からないくらい
消えている
きっと思い出すには
難しいストーリーなんだろう
起きた途端に蒸発するのは
今日も生きてるってことだ
起きてしまえば忘れるけれど
明日は覚えていたいな
今日も元気で眠れたら
タイムマシーン
過去を変えたら自分が消える
そんなストーリーは沢山見たけど
両親の離婚を防いだら
どうなっていただろう
どんな空想を重ねても
消えそうになく
意味なく頭の中でぐるぐる
嫌な気持ちが抜けないので
想像したのを後悔した
私の難儀な人生を変えること
そのこと考えるべきだった
誤って人を傷つけた時の
過ちなら変えたいことは
沢山あるのに
特別な夜/二人の夜
夕陽が七色を空に吹き
夕闇が蒼く沈むときから
始まる満月の夜
月は影を作って
湖畔を望むロッジを包む
今年も迎えた今夜二人
結婚記念日おめでとう
お誕生日おめでとう
二度と来ない日なのだから
大事に祝おう
肩を寄せ合って
綺麗だというあなたは
どちらに言ったのかくすぐってみた