《過ぎ去った日々》
「あの、こんな私にも就職できるでしょうか?」
仕事相談所の窓口で相談した。
「今までやってきたことを書き出してください。
わたしはこの作業を『仕事の棚卸し』と呼んでるんですよ。ほはほ。嫌でも自分と向き合いますから、その中から自分の強みを見つけていきましょう」
自分はできると思っていても
他人にしてみたら
そんなこと、できて当たり前でしょ?
って思われるような気がして
自信もなくて
殻に閉じこもってた。
誰かのSNSを見ては
楽しそうな日常が眩しすぎて
つい、アプリを閉じてしまう。
そんなこともあったね。
順調な時ほど
過ぎ去った日々を振り返ることができるものね。
必死だと
振り返る余裕もないから。
どんな経験も
自身を作ってきたものだから、大切なもの。
過ぎ去った日々を
振り返るのは、死ぬ直前でいい
っていうほど
今を
がむしゃらに生きてる?
《お金より大事なもの》
万年筆が好きだ。
万年筆はお金で買うことができる。
万年筆で日記を書く。
1日の夜にその日のことを思い出しながら
つらつらと文字を並べる。
そこにはおかねでは買えない大事なものだけが
書き記されている。
バイクが好きだ。
バイクはお金で買うことができる。
バイクに乗って海を見に行く、山に入って
ワインディングを楽しむ、
コップ1杯のコーヒーを求めて
県境を超えてただひたすらに走る。
風を受け、照り盛る太陽のもとにさらされ、
落ち葉に危険を感じて、路面の氷に運転を諦める。
その一瞬一瞬はお金では買うことができない。
猫が好きだ。
無邪気に遊び、飼い主に甘える様子を
見ているだけでも癒される。
彼らにとっては
毎日が新しく、昨日は昨日。今日は今日。
人生の手本を見せつけられているようで
お金より大事なものを教えてもらっている。
日々のいとなみ。
今、こうして文字を打ちながら
お金より大事なものを探している。
そして気がつく。
お金で買うことができない大事なものを
体感するためには
お金は必要だということを。
《月夜》
満月に向かってピースサインするの。
その後、縁を切りたい人を思い浮かべて
ピースサインをハサミのようにチョキンって切る仕草をするの。
そしたら、縁が切れる
というおまじない。
幼い頃に読んだ雑誌に載ってた。
大切なことは何一つ覚えていないのに
こんなことは覚えている自分に時々びっくりする。
ほんとなのかな?
半信半疑だった。
少し明るい夜
ふと見上げると満月。
思い出した時にチョキン♪
ってするくらいだった。
ある日
切れた鎖のような、綱のようなものが
目の前にどさっと落ちてきた夢をみた。
その日を境にみるみると状況は変わった。
私は拒絶する勇気を持った。
関わることを避けることができるようになった。
今までの嫌な思い出を手放すことができるようになった。
すると
その縁とは
もう2度と交わることがないようになった。
もう、泣かなくていい。
もう、理不尽だとわめかなくていい。
だから、振り返る必要はないし、振り返ってはならない。
だから、歩き出していい。
そう。
勇気をもって
大きな一歩を踏み出したのだから。
《たまには》
たまには?
嘘やろ。
しょっちゅう洗濯したし、子どもも抱っこしたよ
買い物にも行ったな。
こんなん、いるん?似たようなんようさんもってるやろ?
って聞いたら
おまえ、めっちゃ怒っとったなぁ。
店であんな大声なんか出したらカッコ悪いから
もうそんなみっともないマネすんなよ?
スマホばっかり見てたのは
悪かったな。
部屋掃除してても出て行かんかったんは
少しでもお前のそばにおりたかったんやけど
まぁ、わからんわな。邪魔やったか?ははは。
おまえの話も
たくさん聞いてきたつもりやけどな。
一緒に金沢行ったんも楽しかったな。
いうても列車の中は
2人ともずーっと寝てたなぁ。
おもろかったよ。
おまえのおかげでな。
もう、俺の写真の前で泣くなや。
おまえの笑ってる顔が好きやったから、笑ってくれ。
怒らせてばっかりですまんかったな。
まぁ、そんな声はおまえには聞こえへんやろうけどな。
俺かって、たまには礼ぐらい
いわせてくれ。
ありがとうな。
《現実逃避》
現実から逃げたとしても。
逃げ切れるか?
いつも
孫悟空のように
どんなに遠くに行けたとしても
所詮、お釈迦さまの手の届く範囲で・・・。
この逸話を思い出す。
でもね
現実からは逃げることができないとしても
逃げている間、
「突破してやる」
「逃げ切ってやる」
溢れる気持ちと高揚感。
この高揚感こそが、現実逃避。
やめられないのよ。
だから、繰り返すのよ。
現実に
戻ってこれるうちが華なのよ。
戻ってくることができなくなったら?
そうね、夢で会いましょう。