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3/8/2023, 11:37:11 PM

《お金より大事なもの》

万年筆が好きだ。
万年筆はお金で買うことができる。
万年筆で日記を書く。
1日の夜にその日のことを思い出しながら
つらつらと文字を並べる。
そこにはおかねでは買えない大事なものだけが
書き記されている。


バイクが好きだ。
バイクはお金で買うことができる。
バイクに乗って海を見に行く、山に入って
ワインディングを楽しむ、
コップ1杯のコーヒーを求めて
県境を超えてただひたすらに走る。
風を受け、照り盛る太陽のもとにさらされ、
落ち葉に危険を感じて、路面の氷に運転を諦める。
その一瞬一瞬はお金では買うことができない。


猫が好きだ。
無邪気に遊び、飼い主に甘える様子を
見ているだけでも癒される。
彼らにとっては
毎日が新しく、昨日は昨日。今日は今日。
人生の手本を見せつけられているようで
お金より大事なものを教えてもらっている。


日々のいとなみ。
今、こうして文字を打ちながら
お金より大事なものを探している。

そして気がつく。

お金で買うことができない大事なものを
体感するためには
お金は必要だということを。

3/8/2023, 9:20:31 AM

《月夜》

満月に向かってピースサインするの。
その後、縁を切りたい人を思い浮かべて
ピースサインをハサミのようにチョキンって切る仕草をするの。
そしたら、縁が切れる

というおまじない。

幼い頃に読んだ雑誌に載ってた。

大切なことは何一つ覚えていないのに
こんなことは覚えている自分に時々びっくりする。

ほんとなのかな?
半信半疑だった。

少し明るい夜
ふと見上げると満月。

思い出した時にチョキン♪
ってするくらいだった。

ある日
切れた鎖のような、綱のようなものが
目の前にどさっと落ちてきた夢をみた。

その日を境にみるみると状況は変わった。


私は拒絶する勇気を持った。
関わることを避けることができるようになった。
今までの嫌な思い出を手放すことができるようになった。

すると
その縁とは
もう2度と交わることがないようになった。

もう、泣かなくていい。
もう、理不尽だとわめかなくていい。


だから、振り返る必要はないし、振り返ってはならない。
だから、歩き出していい。


そう。

勇気をもって
大きな一歩を踏み出したのだから。

3/6/2023, 8:45:17 AM

《たまには》

たまには?
嘘やろ。
しょっちゅう洗濯したし、子どもも抱っこしたよ
買い物にも行ったな。

こんなん、いるん?似たようなんようさんもってるやろ?

って聞いたら
おまえ、めっちゃ怒っとったなぁ。

店であんな大声なんか出したらカッコ悪いから
もうそんなみっともないマネすんなよ?

スマホばっかり見てたのは
悪かったな。

部屋掃除してても出て行かんかったんは
少しでもお前のそばにおりたかったんやけど
まぁ、わからんわな。邪魔やったか?ははは。

おまえの話も
たくさん聞いてきたつもりやけどな。
一緒に金沢行ったんも楽しかったな。
いうても列車の中は
2人ともずーっと寝てたなぁ。


おもろかったよ。
おまえのおかげでな。

もう、俺の写真の前で泣くなや。
おまえの笑ってる顔が好きやったから、笑ってくれ。

怒らせてばっかりですまんかったな。

まぁ、そんな声はおまえには聞こえへんやろうけどな。


俺かって、たまには礼ぐらい
いわせてくれ。


ありがとうな。






2/27/2023, 11:09:55 PM

《現実逃避》

現実から逃げたとしても。

逃げ切れるか?


いつも

孫悟空のように
どんなに遠くに行けたとしても
所詮、お釈迦さまの手の届く範囲で・・・。

この逸話を思い出す。


でもね

現実からは逃げることができないとしても

逃げている間、

「突破してやる」
「逃げ切ってやる」

溢れる気持ちと高揚感。

この高揚感こそが、現実逃避。




やめられないのよ。
だから、繰り返すのよ。


現実に
戻ってこれるうちが華なのよ。



戻ってくることができなくなったら?


そうね、夢で会いましょう。

2/22/2023, 5:37:12 AM

《0からの》


毎日が苦痛でした。

ある日には
「あなたは、私以外と接する人間も少ないでしょうから、この職場でコロナワクチンを打つのは最後でいいわね?他の職員から優先的に接種してもらいますから」

と言われました。

自宅待機させてくれるかと思いきや
毎日出勤しなければなりませんでした。

また、ある日には
痩せた私を見ては、
「その腕、細すぎて血管が浮いてて気持ち悪い」と
言われました。

見せないように、アームカバーを着けていれば
「なにそれ、不潔」とあからさまに嫌な態度をとられました。

こんなことを言われるために
側にいるわけではないのに

心は拒みますが身体は抗うことはできませんでした。

感情も次第になくなり、気持ちの起伏は
少しずつ真綿で絡め取られていきます。


「あなたのことは、大事に思っているから」

疑心しかないのに
どこかでその一言にしがみついていたんだと思います。

どの口がそんなこと言うんだろう?
とこからその言葉が出るんだろう?

気になって仕方ありませんでした。

この日

彼女は
私のそばから立ち去り際に、床の段差に
つまづいて転びました。

倒れた彼女に馬乗りになりました。
そして
どの口がそんなこと言うんだろう?
とこからその言葉が出るんだろう?

口を開けやすいように両手で歯を持ってこじ開けました。
顎を外して、手を入れやすいようにして
右手を突っ込んでさがしました。
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「これが当時の、あなたの調書です。」

「何か、思い出すことはありませんか?」

「些細な事でも気になったら、看護師さんに伝えてください。」
と担当警部補達は帰っていきました。


・・・誰のこと、書いてあるんだろう?
担当警部補さんは
さも私が殺めた口ぶりだ。

このところ、毎日同じ事を質問される。
だけど、何も思い出せない。

《やっと他人になれたんだね。よかったね》
《こんな嫌な奴、0からやり直すこともないもんね》

何度も読まさせるけど、そう思う。

そう思う事を、看護師さんに伝えたほうがいいのかなぁ。

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