Machi

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10/11/2024, 10:07:53 AM

【カーテン】


カーテンが揺れる。
穏やかな風が流れ、頬を撫ぜた。
明日もこんな風が吹けばいいねと、君は笑った。

10/5/2024, 8:44:58 AM

【踊りませんか?】



綺麗な夜。
こんなに月が青い夜は、不思議なことが起きると小さい頃から教えられて育ってきた。
信じたことなんてなかった。どうせ嘘でしょと何度も告げた。
私は今それを、撤回する。
目の前にいる、まるで王子のような男。
眉目秀麗、見惚れてしまう程美しい顔を持つ男が、私なんかに。
問いかけていた。
「私と踊りませんか?」

10/3/2024, 11:28:28 AM

【巡り会えたら】



「もしも……もしもの話だよ?」
穏やかな午後。風が白いカーテンを揺らす。
「…僕がもしも話を嫌いなのは知ってるだろ?」
僕は君の柔らかな髪を櫛で梳かしながら、呆れ半分に言った。
君は黄色の薄い花柄と、赤い糸のステッチが可憐なワンピースに身を包んでいる。一秒一秒、見惚れてしまう。
「ふふっ。…もし、今日私が死んじゃったとしてね。自殺じゃないよ、事故で。そしたら、転生できるでしょ?」
窓から、大きな玉が見えている。青と緑がまだらに描かれていて、私達はそれを【チキュウ】と呼ぶ。
今日は霞がかっているから、あまり綺麗には見られない。
君はそれを酷く愛おしそうに見つめながら言った。
「私はあそこに生まれたいな。あの美しい星に…」
いつもそうだ。君は【チキュウ】を愛し、憧れている。次はあそこに生まれたい、あそこに行きたい、あそこに触れてみたいと。
僕はその度、困ったような顔をするしかない。
「…だからもしも話は嫌いなんだ。君が死ぬなんて…考えたくないし、君がどれだけ【チキュウ】に行きたいと望んでも、それを叶えてあげられないから。」
君のもしも話はほとんどが【チキュウ】の話だ。
「だからこのもしも話をしてるの。ちゃんと聞いてよ。」
ぶすくれたように頬を膨らませる君はとても可愛らしかった。愛おしさが心を覆っていく。
「【チキュウ】に生まれて、平和なお家で育って愛をたくさん知って…。……そこであなたと巡り会えたら、花になりたいんだ。」
手が止まる。僕は驚きを浮かべずにはいられなかった。…君の未来に、僕もいるのか。
ふふっ、驚いた?と君は意地悪そうに笑う。
「花になりたいなんて、突拍子もないよね」
そうじゃない。そうじゃないんだ。
体が動かない。こんなに驚いたのはいつぶりだろうか。
「花になって、風に揺られながら…偶に雨に濡れて、太陽が照らしてくれるの。それってきっと、とっても理想的なことよ。」
君はたおやかな笑顔で微笑む。見惚れて、気づいて、咄嗟に口を動かした。
「…………僕と、二人?君一人じゃなくて?」
僕は君のもしも話が嫌いだった。君のもしも話に、未来に、僕は居ないから。
「え?勿論。だって一人じゃ寂しいし、一緒にいるならあなたがいいから。」
髪を梳かし終わったのに気が付き、君は立ち上がった。
玄関へと向かう。僕は君が忘れた鞄をすぐに追いかけて渡し、見送る準備をする。
「巡り合えたらいいね、未来でも。」
君は酷く優しい顔をして扉を開く。そして、僕の心を抱き留めるように言った。
「それじゃあ、行ってきます」

10/2/2024, 9:43:26 AM

【たそがれ】


風がバサバサと髪を揺らす。頬を擦り、服の中に入って涼しい。
不思議と怖くはない。飛ばないほうが、余っ程怖かった。
ビルの窓に、美しい夕日が反射するのが目に入る。
…綺麗だな。
柄にもなく、少し感動してしまった。
目を瞑る。眠るように、意識を手放した。
たそがれを飛び越えて、私は貴方に会いに行く。

9/30/2024, 12:20:11 PM

【きっと明日も】



「きっと明日もいい天気になるはずだよ」
そう言っていた君は、今日学校に来なかった。
そして雨が降った。
君には似つかわしくない天気だ。雨の匂いが鼻について、湿気で服が肌に張り付いて苛々する。
君は雨の日、学校に来ない。
僕は君に会うためだけに、天に祈る。
晴れにしてください。雨を降らさないでください。
彼女に会わせてください、と。

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