あの頃の私へ。
今君は好きな人に告白しようとしてるよね。
付き合えるよ。
でも、積極的に行動するのが恥ずかしくて2人共消極的になるよね。最悪の関係になるよ。
死ぬほど積極的になる覚悟ができてから、告白しよう?
貴方の第一印象は、気味が悪くて、ベタベタしてくる変人。
だけど、私を愛しているのは本当で。
今は嫌い、会いに来るなとばかり言ってしまっている私が言うのはなんだけどー、
きっと私は、貴女から逃れられない。
「また明日」「ばいばーい」「また明日!」「明日な〜」「さようならー」「また明日〜!」
今日も、沢山の「また明日」を聞いた。
その明日が必ず訪れるかと言われればノーだけど、私にはそれが毎日の小さな約束のように聞こえて、とても好きだ。
貴方は今日も、いつもと変わらない。
優しく聡明で、聖人のような貴方。
欠点などないだろう貴方が実は不安定なのを、私だけが知っている。
私が忘れ物をして教室に取りに戻った日、貴方は教室の隅で泣いていた。
見たことのない泣き顔、聞いたことのない嗚咽。
それを見てしまってから、私の世界には、貴方以外いなくなった。
この透明な恋が、いつまでも続きますように。
「私の理想のあなたしか、私は愛せない」
僕は心臓が早鐘を打つ中、その言葉を聞いた。
一世一代の告白。何年もの片思いを経て、やっと伝えた言葉。
君は目を伏せがちに、これで見捨ててくれるというような瞳をする。
上がりきった体温を感じながら、口を開いた。
「君の理想になってみせる」
僕が何年君を好きでいたと思っているんだ。
君の理想が高いのも、高いからこそ、大切な人が離れていってしまったことも知ってる。
だから僕は、君の為ならどんな人間にでもなれる。
君はパッと顔を上げ、呆けて僕の顔を見る。
「僕は、君が好きだ。理想の高い君が、好きだ。」
僕は言ってから、気付いた。
《理想の高い君》…これもきっと僕の、《理想のあなた》だ。
僕たちは案外、似た者同士なのかもしれない。
「………」
君は長い長い沈黙の末、口を開いた。