秋晴れ____
2022/10/18 小説日記
太陽が沈みかける瞬間に貴方と初めて目があった。
下校中、友達と別れしばらく一人で道を歩く。その時いつも同じ場所に黒猫がいる。その子は私をじっと見つめていた。
少しでも近づくと逃げられてしまう。だけど、少し距離を取るとまたこちらを振り返って私を見つめる。そんな黒猫が可愛くてしょうがなかった。
それが2週間ほど前のことだ。
いつでも逃げられるよう木の陰に隠れているのだけれど、今日はレンガの上に座っていた。その子は尻尾を左右に振りながら立ち止まる私を見つめる。
恐る恐る手を近づけるがその子は立ち上がり頭を引っ込めた。でも、逃げなかった。また、手をのばすと手のひらをずっと嗅ぎながら私の顔をチラチラと見ていて警戒しているようだった。
その手で黒猫の頭を撫でようとしたとき、ぽんとこれまでに見たことのないくらい優しくてかわいい猫パンチをくらった。
私は反射的に手を引っ込めた。その子に沈みかけるオレンジ色の光が降り注いだ。瞳がキラキラと輝いている。しばらく私達は見つめ合った。
そして、もう一度ゆっくりと頭を撫でようとする。すると黒猫は私の手にすっぽりとハマってきた。太陽が沈む瞬間、その子は急に後ろを向いて帰ってしまった。猫アレルギーの私はくしゃみをする。
あとがき
猫大好きなんです…。
でも、猫アレルギーなんです泣。だから、いつもその黒猫を見ていたんですがなんと今日触ることができましたっ!!というお話ですw。
忘れたくても忘れられない____
私はたくさん誰かに傷つけられた。
でも、それは傷つけた数でもある。
避けられるのは私が気触ることをしたから。
無視されるのは私が無神経なことをしたから。
陰口を言われるのは私が傷つけたから。
だから、怒れない。責られない。
お互い様だから。
小さい頃から積み上がった傷が私を深く傷つける。
その傷は私が原因なのだとわかり自分で傷を作る。
1年前から、
「あぁ…!」「ゔゔぅ」
とうめき声を出すようになった。
過去のことを思い出すといつもそうなる。
別にそれほど大したことじゃない。
だけど、気がつくと頭の中にその記憶が浮かぶ。
忘れてしまいたい。
嫌なことすべて。
忘れてしまいたい。
やわらかな光____
柔らかな手 透る白肌
振れる声と 鮮やかな表情
恋する僕の 淡い影色
"君の見せる光"の投影
鋭い眼差し____
綺麗で、大きくて、優しい。
そんなあなたの目が怖いの。
ごめんね。
子供のように____
2022/10/13 小説日記
花をさがす少女_
ベトナム戦争真っ只中
ある少女の悲しい物語。
病気でずっと寝込んでばかりだった母は、ブーゲンビレアという花が好きだった。
少女は病気の母のために、いつも1人で遊んでいたブーゲンビレアが咲く草原へ行く。
だが、いつもあるはずのブーゲンビレアがない。
草原をさまよっている時、突然
「ドォォオオオン!!!」
少女がいた草原に原爆が投下。
一瞬にして少女は消え、
少女の黒い影だけが残った。
その時、白い蝶が
残り少ないブーゲンビレア
の近くでひらひらと飛ぶ。
それはさっきまでそこにいた
白いワンピースを着た少女のようだった。
冷たい汗が頬をつたる。歌い終わった私はなぜか息苦しくて静かに呼吸をした。指揮者も手を上げたまま。まるで体育館ごと時間に飲み込まれたようだった。
拍手が起こり客席からざわざわとした声が聞こえてくる。そのことに気がつくと鼻の奥がツンと少しだけ痛くなった。
中学校生活最後の合唱コンクール。全校で私達のクラスが一番最後に歌った。「花を探す少女」という戦争の歌だ。
そして、最優秀賞を取れた。結果発表された瞬間、嬉しくて泣きそうだったがやめておいた。変な目で見られるかもしれない。それに絶対誰かにからかわれる。だから、涙が出そうでもぐっとこられた。だけど、女子の約3分の1の人が涙を流していた。もちろん、それにも驚いたが何よりびっくりしたのはちはるが泣いたことだった。
「別に遅れてもいいよー」
「歌とかマジでめんどくさい」
「みつはなんかうざくない…?」
頭の中でちあきが言ったことを思い出す。
あんなに……
あんなに、歌を嫌っていたのに。
あんなに、愚痴を言っていたのに。
あんなに、めんどくさがっていたのに。
なんで、あんたが泣いてるの……?
そんな一つの怒り…いや、疑問が浮かんだ。
私は不思議でたまらなかった。嬉しいのはわかる。それでも歌を頑張っていた私を笑った彼女がなぜ泣くんだろう。合唱コンクールを楽しみに歌練習を真剣にやっていた私をけなした彼女がなぜ涙を流すんだろう。
泣きそうだった私も、涙は引っ込んでしまった。それよりも彼女が泣いたことが衝撃的だったから。そして、なぜか悔しかった。