子供のように____
2022/10/13 小説日記
花をさがす少女_
ベトナム戦争真っ只中
ある少女の悲しい物語。
病気でずっと寝込んでばかりだった母は、ブーゲンビレアという花が好きだった。
少女は病気の母のために、いつも1人で遊んでいたブーゲンビレアが咲く草原へ行く。
だが、いつもあるはずのブーゲンビレアがない。
草原をさまよっている時、突然
「ドォォオオオン!!!」
少女がいた草原に原爆が投下。
一瞬にして少女は消え、
少女の黒い影だけが残った。
その時、白い蝶が
残り少ないブーゲンビレア
の近くでひらひらと飛ぶ。
それはさっきまでそこにいた
白いワンピースを着た少女のようだった。
冷たい汗が頬をつたる。歌い終わった私はなぜか息苦しくて静かに呼吸をした。指揮者も手を上げたまま。まるで体育館ごと時間に飲み込まれたようだった。
拍手が起こり客席からざわざわとした声が聞こえてくる。そのことに気がつくと鼻の奥がツンと少しだけ痛くなった。
中学校生活最後の合唱コンクール。全校で私達のクラスが一番最後に歌った。「花を探す少女」という戦争の歌だ。
そして、最優秀賞を取れた。結果発表された瞬間、嬉しくて泣きそうだったがやめておいた。変な目で見られるかもしれない。それに絶対誰かにからかわれる。だから、涙が出そうでもぐっとこられた。だけど、女子の約3分の1の人が涙を流していた。もちろん、それにも驚いたが何よりびっくりしたのはちはるが泣いたことだった。
「別に遅れてもいいよー」
「歌とかマジでめんどくさい」
「みつはなんかうざくない…?」
頭の中でちあきが言ったことを思い出す。
あんなに……
あんなに、歌を嫌っていたのに。
あんなに、愚痴を言っていたのに。
あんなに、めんどくさがっていたのに。
なんで、あんたが泣いてるの……?
そんな一つの怒り…いや、疑問が浮かんだ。
私は不思議でたまらなかった。嬉しいのはわかる。それでも歌を頑張っていた私を笑った彼女がなぜ泣くんだろう。合唱コンクールを楽しみに歌練習を真剣にやっていた私をけなした彼女がなぜ涙を流すんだろう。
泣きそうだった私も、涙は引っ込んでしまった。それよりも彼女が泣いたことが衝撃的だったから。そして、なぜか悔しかった。
10/13/2022, 12:19:12 PM