5/27/2024, 11:09:52 AM
『君と僕の終末論』
「なぁ、明日世界が終わるとしたらどうする?あ、終わるのはどう足掻いても変わらないものとして、な」
虚空に言葉を放つ。さぁ、どう返ってくるか。普段からのほほんとしている此奴の事だ、どうせいつも通り過ごすとか、せっかくだから寝るとか、慌てふためく人間を観察するとか言うんだろうな。
「抱き潰す、かも」
しばらくカップの縁をなぞりながら出した結論が、これだった。時々予想の斜め上を行くこの男は、隣にいて飽きがこない。
「最期になるなら、全部を君で埋めつくしたい」
よくもまあそんな事を真顔で言えたものだ、少しくらいいつもの腑抜けた顔をしても良いのに。だけど、最期まで此奴の射貫くような双眸に見つめられ、溺れるくらい愛されるのなら。
「最高じゃん」
これ以外の答えは見つからなかった。
5/26/2024, 11:07:45 AM
あの人は甘いものが何よりも好きだ。洋菓子から和菓子までこよなく愛し、自ら作り上げる数々の品は絶品だ。
そんな彼が今日ご馳走してくれたタルトも、筆舌に尽くし難い程美味しかった。
ご馳走様、と言おうと彼の方を向くと視界が見知った色に包まれ、唇に触れた。
あぁ、そういえばお菓子より好きなのはこちらだったか。
食べられてばかりではないぞ、と押し返すようにして蕩ける。他の何にも変えがたいこの時間はどんなお菓子よりも甘く柔らかで、二人の大好物なのだ。
お題:『お菓子より甘く』
5/25/2024, 1:21:52 PM
友人は僕がどんな隠し事をしようともすぐに見透かす。
例えば一緒にお弁当を食べる時、彼の卵焼きを美味しそうだなと見れば「食べる?」と差し出し。苦手な科目のテストが返された帰りには「一緒にやろうぜ」と言い。
遂には「好きなやついるだろ」とまで言われてしまった。
あぁ、どうか「誰か」は、まだ
お題:『見透かさないで』