『君と僕の終末論』
「なぁ、明日世界が終わるとしたらどうする?あ、終わるのはどう足掻いても変わらないものとして、な」
虚空に言葉を放つ。さぁ、どう返ってくるか。普段からのほほんとしている此奴の事だ、どうせいつも通り過ごすとか、せっかくだから寝るとか、慌てふためく人間を観察するとか言うんだろうな。
「抱き潰す、かも」
しばらくカップの縁をなぞりながら出した結論が、これだった。時々予想の斜め上を行くこの男は、隣にいて飽きがこない。
「最期になるなら、全部を君で埋めつくしたい」
よくもまあそんな事を真顔で言えたものだ、少しくらいいつもの腑抜けた顔をしても良いのに。だけど、最期まで此奴の射貫くような双眸に見つめられ、溺れるくらい愛されるのなら。
「最高じゃん」
これ以外の答えは見つからなかった。
5/27/2024, 11:09:52 AM