凪灯

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5/19/2024, 12:21:22 PM


その酒のせいだよ。
私のことなんて忘れてるでしょ?
だって、貴方酔っていたもの。
きっと、記憶がなくなることをいいことに。
「大好きだ」なんて言ったこともない言葉を吐いたんだね。
最悪よ。
ほんと、最悪。
そんなこと言っといて。
次に顔を見せたのは、穏やかな死顔。
どうしてとても幸せそうに笑っているの?
なんで、指輪の箱をその手に握りしめているの?
嗚呼。
私にぬぐえないほどの寂しさを残して。
何処に消えるというの。




馬鹿。
「大好き」なんて言わなくたって、分かっていたわよ。

5/19/2024, 5:22:17 AM

夢で逢えても仕方がないと言うけれど。
貴方の微笑みや、絡めた指先の温度だけでも。
愛おしいと感じたあの頃の感情を今でも鮮明に憶えている。
夢でよかった。
夢がよかった。
本当の貴方と逢ってしまえば。
一度沈んだ想いが溢れ出して収拾がつかなくなりそうだもの。
涙で枕が濡れてしまったことは秘密にしなくちゃ。
「寂しかったんだろ、お前」なんて。
貴方の掠れたその低い声に言われてしまえばもう。
私はきっと貴方から抜け出せなくなる。


あぁ、でも。
貴方のくつくつと喉を鳴らして笑う声だけは。
貴方の隣で聞きたかったと思ってしまうのは。
矛盾しているのかもしれない。