星が溢れる
「ねえ、月が綺麗ですね。」
「私は星の方が綺麗だと思うな。いくら月が綺麗でも、星が溢れる限り美しさは霞んでしまうものだよ。」
「それでも僕は月が好きだよ。」
平穏な日常
「今日ってなんの日か知ってる?」
「今日?3月11日、、あ。3.11。」
「そう。東日本大震災があった日だね。」
「そうだった。私たちは1歳の頃だっけ?
関係ないと思いがちだけど忘れちゃダメだよね。」
「そうだよね。平穏な日常が壊れた瞬間だったわけだし。それから耐震について一目置かれるようになったんだっけ?」
「私も地震についてはあんまりよく知らないなぁ。」
「なんだかんだ年々薄れているよね。そのうち忘れ去られるのかな。」
「どうだろうね。」
過ぎ去った日々
「卒業式泣く?」
「絶対泣かない!最後は笑って終わりたいし。」
「とか言って、1番泣きそうだけどね」
「そういうそっちも大号泣でしょ?」
いざ始まると案外感動するものだ。
過ぎ去った日々は戻ってこない。
大して友達が多いわけでもないし、先生と仲良かったわけでもないし、学校なんて行きたくないが口癖だった。
それでも楽しかった。
お弁当の匂いでいっぱいの5時間目も、
体育終わりの眠たい授業も
先生に怒られる時間も。
思い返すと涙が止まらなかった。
「やっぱり泣いてるじゃん」
「そっちこそ。」
「私は花粉症だから。」
そう強がって目を拭う君でさえ、今では涙の材料でしかない。
お金より大事なもの
「ねえ、お金より大事なものってあると思う?」
「そりゃ命でしょ。」
「みんなそう言うけどさ、ほんとに思ってるのかな?」
「どういうこと?」
「じゃあ例えば、もし死んでも1度だけ復活できる『命』と10億円があったとして、『命』を取る人はどのくらいいると思う?」
「確かに、そうなると私も10億円を選んじゃうね。」
「じゃあやっぱりお金より大事なものってないんじゃないかな。」
たまには
今日の夕焼けはなんだか優しい。
いつもは気にもとめていなかったただの空が
何となく
根拠なんてないけれど
私をこの街ごと包んでくれている気がする。
「たまには空を見上げるのも悪くないなぁ」
なんて言葉が口からこぼれていた。
立ち止まることが悪だと思っていた。
私にはそんな時間なんてないと勝手に決めつけていた。
でも、やっぱり、
たまには立ち止まるのも大事みたい。
悔しいなぁ。
今まであんなに忙しなく動いていた私を、
こんな優しい空はずっと見守ってくれていたらしい。
私はそれに気づけなかった。
優しさに触れるべきだった。
けれどなんだか不思議な気持ちになる。
なぜあんなに急いでいたのかも忘れてしまいそうだ。
やっぱり空を見るのは「たまに」でいいかもしれない。