心の迷路
この世の言葉じゃ表せない何かに追い詰められる感覚がずっとずっとあって、私が私でないと感じる瞬間がある。
ずっと「私」という何かを操っているようで、
答えの無い迷路みたいに迷い続けて抜け出せない。
「私」を理解しようとしたところで
私の心の迷路に正解なんてないのだから
抜け出せるはずがないの。
どうすればいい?どうすれば答えのある迷路になる?
熱が出るほど考えてもわからなかった。
もういっその事心なんてなければいい。
心の境界線
私は壁を作っているらしい。
完全に無意識だ。
疎外感が否めなくて、相手の理解を素直に受け取れない自分がこの世界の何よりも嫌いだった。
もしこの境界線がなくなったところで
功罪相半ばするだけだろう。
であれば正解は何?
私にはわからない。分かりたくもない。
灯火を囲んで
私はどうも火に縁がないらしい。
キャンプファイヤーなんてものは見たことがないし
手持ち花火もしたことがない。
花火大会に行こうとしたとき、熱が出たこともあった。
線香を炊けば火傷をした。
別に困ったことは無いけれど、
私にだって灯火を囲む権利はあるだろう?
冬支度
クローゼットの奥から引っ張り出した冬物の服は
まるで時が止まったかのように、
服のシワも、匂いも、去年のままだった。
私みたいだと思った。
去年と何一つ変わらない。
成長も衰退もしない。
しかし、
これからの必需品になる冬服は
どんどん私を置いて成長するだろう。
であれば、私に例えるのは失礼かもしれない。
そんなことを考えていたら
冬支度を終える前に心がやられてしまいそうだ。
キンモクセイ
僕の初恋の相手はキンモクセイのような人だった。
気高く謙虚なあの人は橙色がとてもよく似合っていた。
1度だけその人に真実の愛について聞いたことがあった。
彼女は「そんなものがあるのなら、もう既に私はここにはいない」と言ってその場を後にした。
いつもの僕であれば、君の手を掴んで
「それなら僕が君の真実になってあげる」とでも言っていただろう。
けれどそのとき、僕の体は石のように動かなくなった。
あぁ気づいてしまった。
僕が恋したのは橙色の似合う気高い女性ではなく
あのキンモクセイの香りだったのだ。