余命を医師から知らされ
僕はスマホに
声の日記を付け始めた
声が出せなくなるまで
日記をつけよう
眠りにつく前に
いつもの不安が僕を襲う
その事も話した
いつか
家族はこの録音を聴くだろうか
愛しい僕の家族へ
許してくれ
僕は先に行くけれど
声は残しておくよ
大好きだよ
永遠に
咲く花
散る花
枯れる花
花のようになれたら
そう思う
花のように
柔らかく
透明で
風に揺れ
雨に濡れ
踏まれても
折られても
また生えて
命を揺らす
花のように
私はなりたい
リンドンと
鐘は鳴る
この吹雪の中を 客は来たようだ
やあ スコット タバコを1ダースと
苺ジャムをくれ
スコットさんは
手慣れた手つきでタバコを棚から取り出し
袋に入れると
苺ジャムを持って来た
ージャンの奥さんは
苺ジャムが好きなのかい?
スコットはお釣りを計算して手渡しながら聞いた
ジャンはお釣りを受け取ると言った
ああそうさ
俺以外の家族全員が
お前の作る苺ジャムにメロメロさ
俺以外の家族がな
ー頼むよ ジャン
俺の作る苺ジャムは
俺のばあちゃんの直伝なんだ
バカにするなよ
スコットさんはマフラーを着けながら言い
ーこれからスーパーに買い出しに出かける
店を一旦閉めさせてもらうよ
と
ジャンと一緒に店を出て
シャッターを下ろした
ーまたなジャン
もう出かけるのか
気を付けて
スコットまたな
今日のところはここまでで
おしまい
また明日気が向いたら書くわ
姉さんはそう言うと
大欠伸をしてみせた
僕はホットミルクを飲んで
夢の中のもう一つの物語に入り込むのだった
秘密基地を作ることにした
部屋の中に
僕だけのサンクチュアリ
蚊帳を釣って
シーツを被せて
中には漫画本や僕の子分に見立てた
ぬいぐるみを置いた
夜
暗がりの中で
懐中電灯を灯し
ラジオを聴く
お母さんがココアを持ってきた
ー目が悪くなるわよ
ラジオを聴いてるんだ
大丈夫だよ
ーあら …そう
変なもの作ったのね?
ただの蚊帳だよ
うるさいなあ
僕の勝手でしょ?
ーはいはーい
僕はココアを飲みながら
少しずつ眠くなって
ココアを飲み干すと
ラジオの音を小さくして
うつらうつらとした
ーー気が付くと
朝だった
あ!今何時!?僕学校…
Am6:00だった
さすが僕のサンクチュアリ
僕を寝坊から守ってくれた
今日も1日
無事で在らんことを!
愛言葉
好き
会いたい
好き?
好きになっても良いですか
好きな人は居ますか
これから少しずつ
好きになっていってほしいです
嫌いじゃないよ
愛言葉