【夢の断片】


すごく良い夢を見た

思い出せないけれど

たぶん思い出せないから良い夢なんだな


何とか思い出そうと

記憶の糸を手繰っても

小さな欠片しか付いてこない


睡眠時間を考えると

映画の一本や二本分くらいの物語

あるいは冒険を終えててもおかしくない


小さな欠片は

かも知れないとだけ伝えてくれる

それは違うとは言わない


うろ覚えの切れ端を握り締めて

鼻歌を歌う


なんだ

現実と変わらないじゃないか

【見えない未来へ】


俺は凡人だから

そもそも未来なんて見えない


考える事はある


こ～ならないかなぁ

あ～なればいいなぁ

きっとこ～なるんだろうなぁ


あくまで想像や予想

どれだけ緻密に描いても

ちょっとした事で容易く崩れる

まぁ俺の予想なんてそんなもんだ


予想外も悪い事ばかりじゃないから

案外悪くもない


右往左往して疲弊するなら

行雲流水

ぼんやり行く先を眺める方が

見える未来もあるかとも思う


初老のぽっちゃり

機敏な動きは苦手なのだ

【記憶のランタン】


最近ではすっかり

慎ましやかな明るさになった

残りの燃料が少ないのか

長年の使用に付着したすすのせいか


あの頃はまだ遠くの方まで

明るく照らし

色んな物を発見出来たと思う

例えば

と

ランタンを少し高く持ち上げて

辺りを見回す


なるほど

経年劣化はこちらの方か

【君を照らす月】


闇に包まれても

道に迷わぬように

道を間違えぬように

また日が昇るまでの

ささやかな祈り

【木漏れ日の跡】


肌寒さを感じる季節

同じこのベンチに

暑い日には涼を

寒い日には温もりを


やはり俺には

白黒つかない場所がいい