藻掻くだけの日々に憑かれた
それがどうにもつまらなかった
温度を忘れた
から、暑いんだか寒いんだか分からなかった
ただ思い出せない
多くのことが
少し、うまく、わからない
“ ”
ぼたぼたと、きこえた
真夏の記憶
“やさしいね”、だって
何をもってしてそうしたのかね
んなもん客観からする偏見でしかないのにさ
まず考えてもみてよ
例えばさ、金銭の代価に商品を快く引き渡すこと
客入り維持の為それはそれは丁寧ににこやかに接客をすること
それらの何が特別だって?
時折不安になってしまうよ、それ本気で言ってんのかって
だったらあんたはやさしいね、とてつもなく生やさしい
その裏に巣食った心根なんて訊こうとも思いやしないだろうに
それすら良識はやさしさだとか呼ぶそうだ
やさしさなんて合理性に他ならない
莞爾な笑みを湛えたそれのどこが信用に値するのか
空は死んでいた
魚は浮いていた
落ち葉が此方を見ていた
花は哭いていた
蛙は臓を皮膚とした
呼吸が煤に塗れていた
君は、ヒトでは非ずに君だった
此の世界の何処に心の羅針盤などと崇高なものを見出した?
或いは其れが在ったとて、針先の寸分足らずも違っていないと言い切れた?
何故に斯様なものを妄信し、君を、
君の命を、足蹴に出来た、?
夢じゃないよ
いつか何処かの話じゃないよ
終わりは遠くに思えていようと、
其の実足の裏にて忍んでいる
明けない夜が無いのと同様
沈まぬ白昼も在りはしない
忘れないでいて欲しい
今享受している安寧は、酷く脆弱な停滞であるといえること
誰彼問わず、真に平和も幸福も何一つ分かれやしないこと
そして此の先、其れを知っていて欲しいこと
廃線の勝手踏切に立休らう
星が見たいから
本当は渡りきりたくはあるけれど
しかし踏み出した先に、もし小石があったらば、
蹴躓いてしまうでしょ
かと言って、足元なんぞ見飽いてしまったから
今だけはと綺麗なものだけ眺めゆる
時が滞ったと錯誤する
それ程までに空はただただ空である
瞬く柄杓と十三にすら満たぬ麗月が
音もなく、目に釘打っていた
もう、動きたくないな
このまま、世界に揺れて溶けて溺れてしまえばいいんじゃないか
泡になりたい息すらも、全て押し殺せるなら楽だろか
重心をも掴むことなく沈んでいれれば相応しい
そうしてそうして耽って耽って
風に攫われること夢見ている
その日は来ないと、片隅に知っておきながら
侘しさを無駄で包むみたいに、虚飾にただ縋ったように
もし、本音がこれを望んでいるなら
掻き消せないのは痛手なのかな
ぐるっと眩み八転び
横目で悟ったまたしてものやり直し
同じ焦熱を何度も何度も
同じ憂愁を何度も何度も
君はずっとそこにいる
僕はまだサイダーを握っている
もう飲めたもんなんかじゃないだろうこれが
腐敗した時間を証明してる
ねぇ、君の言ってた取り柄何だっけ
あぁ、おしゃべりなとこだっけ
じゃあさ、話そうよ
、なんか言ってよ
話聞いてよ
ねぇって、こっち見なよ
目ぐらいは、開けてよ
潮時か
持て余したそれを胃に棄てる
ぬるい炭酸と無口な君を
一つと残さず飲み干し砕く
もしかするならそれらは全て、誰かの塩酸に過ぎないかもな
あぁ、醒めちゃった
ただいま、夏
さようなら、夏