俺の今年の抱負
【卒業式までにあいつに告白する】
《腐向けです》
あいつは寮の同室で友達、喧嘩してばかりだけど、隣にいないと落ち着かないし、いないとつい姿を探してしまう。
いつから好きになったのかなんて自分でもよく分からない。
卒業式までに告白すると思いつつも、断られたその後のことを考えると、とても無理だった。
友達という関係性を壊したくなくて。
そしてついに卒業式の日を迎えてしまった。
式が終わり外でワイワイしてる人の波ををかき分け、あいつを探す。
いた!
背が高いしイケメンだし相変わらず目立つ奴!
群がる女子達を迷惑そうにあしらってる奴に近づく。
「おーい」
あいつが気づいてこちらを見る。
『ああ、お前か』
言いながら女の子達から離れてこちらに歩いてくる。
そして見てしまった。
あいつの制服の第二ボタンがないことに・・・
他のボタンはあるのに第二ボタンだけない。
(俺、、告白する前にフラれたのか、、)
思わず涙が出そうになるが堪える。
(平静を装え!俺!)
「なんだよお前!第二ボタンねーじゃん、そんな子がいたなんて角におけねーやつだな」
わざと揶揄うような調子で言う。
『伝える必要はないと思ってたが卒業式だからな、悩んだがこのまま終わるのは嫌だと思ったんだ』
真顔で言うあいつ。
(否定しないんだなお前・・・)
いよいよ涙が溢れそうになった俺はこの場から早急に去る事にした。
「また彼女紹介しろよー、そして俺にも彼女の友達紹介しろ!」
思ってもない事を笑いながら言う。
「んじゃ、またな!」
俺は奴を残し、校門に向かって歩き出した。
二、三歩歩いたところで誰かに後ろから手を取られた。
振り返るとあいつの手が俺の手を握っていた、
そしてゆっくり離される。
「ん?」
あいつに握られた手のひらに違和感を感じ見てみる。
手のひらにコロンとのる制服のボタン・・・
「えっ!?!?」
驚き顔のままあいつの顔を見る、そこには少し照れたような顔をしたあいつが俺を見ていた。
俺は弾かれたように、自分の制服の第二ボタンに手をかけ引きちぎった。
そして、あいつの手を取り手のひらにのせた。
その瞬間あいつが花が開くような笑顔を見せたから、俺も泣きながら満開の笑顔を返したんだ。
新年早々、俺は恋人と2人寮部屋ですごろくをやっていた。
実家に帰った時に懐かしくてついつい持ち帰ってしまったのだ。
サイコロを振る
コロコロコロ・・・
『5か』
コマを5マスすすめる
『うっ、またか・・・』
3度目だ、何度やっても(恋人にふられ振り出しに戻る)のマスに止まり、振り出しに戻ってしまう。
『お前、、俺と別れる気か、、』
「は?」
『3回も同じマスに止まるなんて、そんなふうに思ってしまうだろう』
恋人が呆れた顔をして言う。
「そんなわけねーだろ!
俺は年取ったお前と年取った俺の2人が今と変わらず、仲睦まじくやってる夢を見たぜ、俺はこれが正夢になると思っている、なんてったって初夢だしな」
「さ、すごろくやめて初詣にでも行こうぜ!俺は絶対大吉引くからな!」
そう笑いながら言ったお前に惚れ直したのは秘密だ。
12/31日寮のベッドの中、今年1年を振り返る。
学園に入学し、友達もでき、気になる相手もできた。
それなりに実りのある1年だったように思う。
自分は訳ありで寮で1人寂しく年越しだが、あいつは今頃実家で家族と過ごしている頃だろうか。
感傷に浸っていると、スマホが鳴った。
枕横に置いてあるスマホを手に取り、画面を見る。
あいつからだ。
慌てて通話ボタンを押す。
『おー、お前のことがやっぱ気になっちまって。
今、除夜の鐘が聞こえてるんだが、お前にも聞かせてやろうと思ってつい電話しちまった。聞こえるか?』
「ああ、聞こえる」
あいつが俺の事を気にかけてくれていた事が嬉しい。
自然と顔が綻ぶ。
『早く帰る予定だから。戻ったらどっか初詣にでも行こうぜ!』
「いいな、楽しみだ」
『じゃあ、またな。良いお年を』
「今外か?寒いから風邪引くなよ
お前も良いお年を」
心
色も形も大きさも分からない
けれどとても大切なもの