─太陽の下で─
近所にある、人が居ない公園。
意外と広くて、少し大きな道がある。
遊具もブランコと滑り台があるが、
子供が来た所を見たことは一度もない。
でもそんな公園が、大好きだった。
春は桜の雨が降る公園に。
夏は蝉の声が響く公園に。
秋は紅葉の綺麗な公園に。
冬は白いっぱいの公園に。
まるで人間の表情のようで、綺麗なんだ。
本を読んだり、歌を歌ったり、写真を撮ったり。
全てが綺麗で、楽しいけれど、一番好きなのは秋。
暖かい太陽の下で、ゆったりと本を読む。
ふと落ちてきた枯れ葉に目を奪われたりして。
そんな秋の公園が、僕は好き。
─落ちていく─
私は今、落ちている。
まるで海みたいに蒼い空のような。
まるで桜が浮いている川のような。
そんな綺麗な景色へと、私はゆっくり落ちていく。
いつもは上にいる鳥達も、今は私が上に居るようで。
今までなかった自由すら、今は私の羽になっている。
耐えられなかった世界すら、今はこんなにも美しい。
花のなかった生活も、やっと自由になってゆく。
息苦しかった生活も、やっと幸せになってゆく。
さぁ、もう少し。怖がる必要なんてない。
ただ目を瞑って、落ちるだけ。
お久しぶりの作者です。
ハート1500いきました!ありがとうございます!
ここまで来たら小説家の夢を持ってもいいでしょうかね…?
これからはハート500ごとに報告させていただきます。
これからもよろしくお願いします!
以上、作者でした。
─夫婦─
近所に住む、仲の良い夫婦。
見た目的には60歳ぐらいに見えた。
いつも登校の時、挨拶をしてくれる。
二人とも優しく、目元には人柄の良さからか、
笑わなくてもしわが出来ていた。
そんな二人が昨日、殺された。
夜中に行われた事件で、発見に時間がかかったそうだ。
しかもその現場の状況が読めてないらしい。
何故なら夫の方は、腹を複数刺されており、妻の方は、首を吊った状態で発見。
警察は、妻が夫を何らかの理由で殺し、
その後妻は首吊り自殺をしたのだと考えている。
それを近隣住民だった僕は聞いていた。
まぁ、盗み聞きだけど。
凶器は見つかっていないらしく、犯人の指紋も残っていない。
警察は手詰まりの状態で、半分諦めているように見えた。
…よかったよ、諦めてくれて。
凶器も、指紋もバレていない。
内心ドキドキしてたけど、やっぱりバレなかった。
聞き込みとかしてきたら、自主するつもりだったんだけど…。
聞かれなかったし、まあいっか。この事件は終わり。
…さぁ、次に行こうか。次は誰かな…?
─どうすればいいの?─
『…ねぇ、先生。私はどうすればいいの?』
ある一人の生徒からの相談。
ちょうど受験の期間だから、それの相談だと思っていた。
でもその相談内容は、
とても受験とは反対なものだった。
その内容は、俺のクラスの女子生徒が自殺したことについて。
一昨日、起きた自殺。原因は虐めだったらしい。
らしいと言うのも、俺は虐めを知らなかったから。
でも、それは無理のない話だった。
相談してきた生徒が言うには、
『その子の家に落書きとか、学校外で暴力とか』らしい。
学校外だとすると、気付くわけがない。
でもそれだと無責任すぎるのは知っている。
だから生徒の話を聞き続けた。
相談してきた生徒は、自殺した生徒の親友らしい。
虐めのことは知っていたらしく、
それでも何もできなかった自分はどうしたらいいのか。
それを聞かれた時、何も答えられなかった。
嫌、どう返すのが正しいのか、わからなかった。
どう返しても、生徒を傷つけることになる。
結局何も返せずに、相談は終わった。
俺は、どうすることが正しかったのだろうか…。
─飛べない翼─
ある家に女の子が生まれた。
その子はとても可愛く、親もその子をとても愛していた。
だが、親はその子を愛しすぎたあまり、
女の子は段々と辛くなっていった。
親がその子に執着するのには理由があった。
親には昔、もう一人子供が居た。
本当は元気な体で生まれる筈だった。
しかしその子は病気を患ってしまい、
三歳という若さで亡くなってしまった。
その為、健康で生まれてきた女の子を、
とても甘やかし、危険なことには近付けず、
ずっと家と言う檻に閉じ込めていた。
甘やかされて育った女の子は、翼があるのに飛び方が分からず、
ただ檻で愛されるだけの鳥になっていた。
女の子には飛べない翼ではなく、
“飛べる筈だった翼”しか、ついていなかった。