─大事にしたい─
私ね、友達が大好きなの!
家族が居ない私にとっては、
友達が家族で、とっても大切なの。
大切で、大好きで、大事なの。
それなのにさ、友達がね、こんなことを言ったの。
『貴方って、冷たくて酷い人。』って。
言われた時、意味が分からなかったの。
私はこんなに大好きで、沢山遊んで、大事にしてるのに。
「何でそんなこと言うの?」って聞いたの。
そしたらね、私以外に冷たいんだもの、って言われちゃった。
確かに友達以外はどうでもいいから、冷たくしてた。
でもそれだけで冷たいとか酷いって言うの?
そんなこと言うのは友達じゃない。
そんな友達、いらない。
気付けば友達だったものは、赤く、冷たくなっていたの。
冷たくて酷いのはどっちよ。
私じゃなくてアナタでしょ?
─時間よ止まれ─
もし、神様が居るなら。
私は今、時間を止めてほしい。
時が止まることで、目の前に居る、
名前も知らない女の子が助かるのだから。
その代わりに自分の命はなくなるけど。
家族を残して逝くのは申し訳ない。
息子が居る。妻も居る。大切な、家族が居る。
せっかく息子と仲良くなったのになぁ。
楽しい思い出ばかりだったのになぁ。
『幸せ』だったんだけどなぁ。
今だけでいいから。
自分はどうなってもいいから。
だから、時間よ止まれ。
どうも、お久しぶりの作者です。
今回の話は9月11日の話『喪失感』の原因バージョンです。
繋げて読むとより面白いと思います!
これから投稿頻度上げていけそうなので、できるだけ頑張ります!
以上、作者より。
─夜景─
君と見た夜景は全て綺麗に見えた。
いつもは眩しいと感じる明かりも、
毎日騒がしい車のクラクションも、
隣の部屋から聞こえる怒鳴り声も、
全てが君との時間を引き立てるものにしか感じなかった。
二人で一緒に星を見て、綺麗だねって笑って。
輝く街を手を繋いで、歩きたいねって言って。
夜の海までドライブしたいって、駄々こねて。
全部出来なかったけど、何もしていなくても幸せだった。
君が居なくなるだけで、こんなに辛くなるとは思わなかった。
綺麗に見えた輝く星も、
隣に誰も居ないまま街を歩くことも、
月明かりに照らされる夜の海も、
全てが自分を嘲笑うように思えて。
ふとしたことで君を思い出す自分は、
ちゃんと君を愛していたんだな。
愛した分だけ別れが辛くなるって知っていれば、
君を愛していなかったのかな。
─花畑─
不思議な夢を見た。
気付けば僕は花畑に立っていて。
頭に違和感を覚えて触ると、
花で出来た冠がのっていた。
手先が器用では無いので、
僕が作ったわけではない。
誰が作ったのか考えていると、
遠くから声が聞こえた。
『あっ!やっと起きた~、ずっと寝てたよ?』
───誰だ?分からない。
分からない。知らない。怖い、筈なのに。
何故だろう。涙が出るのは。
『えぇ!?どしたの!?』
「わから、ないっ。知らない、筈なのに、何で、。」
何で、こんなに悲しくて、苦しいのだろう。
忘れてはいけない、大切な記憶のような気がする。
昔一緒に遊んで、幸せだった記憶。
思い出そうとしたが、酷い頭痛に襲われた。
嗚呼、何で。こんな大切な時に。
また夢で会えるかな。大切な、君に。
題名【数年前の事故】
─空が泣く─
日直が挨拶をする。
教室に椅子を引く音や、
クラスメイトの声が響く。
廊下を歩き、階段を降りる。
下駄箱から靴を取り出す。
灰色が気になり、上を見上げる。
しとしと、と空が泣く。
傘をそっと開く。
駐輪場まで歩く。
水溜まりが音をたてる。
自転車を動かし、雨も気にせず帰路に着く。
嗚呼、この退屈な日々はいつ終わるのだろうか。
退屈で、窮屈で、繰り返す日々を、誰か終わらせてくれよ。
この生活が変わるなら、命だって賭けるから。
だからさ、早く、助けてくれよ。