─夜景─
君と見た夜景は全て綺麗に見えた。
いつもは眩しいと感じる明かりも、
毎日騒がしい車のクラクションも、
隣の部屋から聞こえる怒鳴り声も、
全てが君との時間を引き立てるものにしか感じなかった。
二人で一緒に星を見て、綺麗だねって笑って。
輝く街を手を繋いで、歩きたいねって言って。
夜の海までドライブしたいって、駄々こねて。
全部出来なかったけど、何もしていなくても幸せだった。
君が居なくなるだけで、こんなに辛くなるとは思わなかった。
綺麗に見えた輝く星も、
隣に誰も居ないまま街を歩くことも、
月明かりに照らされる夜の海も、
全てが自分を嘲笑うように思えて。
ふとしたことで君を思い出す自分は、
ちゃんと君を愛していたんだな。
愛した分だけ別れが辛くなるって知っていれば、
君を愛していなかったのかな。
9/18/2023, 11:30:52 AM